回顧 ページ32
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確かに去年の秋くらいまでは、和也はいつも休憩室に勝手に入り込んで、よく女の子と電話をしていた。
あの頃はまだ室長から休憩室の使用許可が出ていない時だったから、毎回毎回仕事で注意するのもうんざりで、もうその姿を見たくないくらいに。
それも、甘い声に甘い言葉で…特定の誰かというよりも、いろんな女の子と会う約束をしていたような気がする。
でも、いつからだったか…
そう…秋頃からそんな電話が少なくなってきて…。
いつの間にか、もうそんな女の子たちと浮いたお付き合いをしているようには見えなくなってきて…。
その一方で、私は和也と接する機会が増えてきて…
苦手な人だったけれど別に悪い人じゃなくて、むしろ波長が合うというのか、彼の心に触れて一緒に居て安心できる人なんだというのを実感することが何度もあって…。
そして、あのバレンタインの後に話をした時…
和也は彼女なんていませんって…
私のことを貴重な存在だって、そう言ってくれた。
それだけで…
私にとっては十分だったから。
休憩室で和也が電話で約束していたあれって…
そういう、その…大人のお付き合いの約束なんだよね、きっと。
だから、かなりの人数の女の子と遊んできた人なんだろうな…っていうのは、最初からわかってた。
だけど、そんなお互いの過去とか立場とか、そういうものに関係なく…
ただの二宮和也とただの小笠原Aという私たちが、これまで2人で深め合ってきた関係の中で。
私は気付かないうちに彼に惹かれていて、いつの間にか彼のことが好きになってしまっていた…。
それだけが目の前にある真実。
確かに、2人きりの時間を一緒に過ごしていれば、やっぱり女性の扱いには慣れてるなって思うことも多々あるけれど…
それは不思議なくらい私の中ではこれまで大きな問題じゃなかった。
これまでの恋愛でも、その人の過去の相手のことなんて考えたことなんてなかったから、和也から付き合おうと言われた時も、和也の過去なんてこれっぽっちも考えなかった。
それなのに…
え?
私、動揺してる…?
真っ白になった頭にいろんなことが浮かんでは消えて、チクチクとした痛みとザラついた不快感で胸の奥がいっぱいになり、だんだん気分が悪くなってきた。
そっか、今日は朝から調子悪かったんだ…。
目の前の新聞の文字がゆらゆらと歪んで見えて、こんな時に自分の体調管理の甘さを後悔する。
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kico(プロフ) - なるさん» 書いてるうちに悪役に心情移入してしまい、だんだん実は良い人だった設定に変わってしまうことが私はあるんですけど(元カレくんとか。笑)、ハマダは、そうなることはないでしょう(笑)。こういう人まず居ないだろうからその分最後まで悪役をしてもらう事に(笑)。ふふふ (2015年5月7日 9時) (レス) id: e6fa685b25 (このIDを非表示/違反報告)
kico(プロフ) - しろさん» この章と次の章は楽しくない展開が続いています…ごめんなさい;;それを過ぎたらいつもの私の妄想路線に戻るはず!きっとここで感じた事がきっと今の2人の土台にあるから揺るがないんだと信じて書いています(と書くと大袈裟だけど何となくそんな感じで。笑)。 (2015年5月7日 9時) (レス) id: e6fa685b25 (このIDを非表示/違反報告)
なる(プロフ) - kicoさん、おはようございます(^ー^) 是非ともハマダを痛めつけちゃって下さい(笑) 何処まででも追いかけますょ~(*≧∀≦*) ドキドキしながら待ってます♪ (2015年5月6日 8時) (レス) id: a4e0b0ea69 (このIDを非表示/違反報告)
しろ(プロフ) - 主人公ちゃん…二宮さんに迷惑かけないように自分にできることを、、って頑張ったのに…。辛い展開で涙が(´;ω;`)それにしてもハマダ…なんなんだ!!← (2015年5月6日 0時) (レス) id: 30aeae7aa3 (このIDを非表示/違反報告)
kico(プロフ) - なるさん» なるさん、こんばんは^^!ハマダめー(怒)!!ですよね。彼には鉄槌が下るハズ(ふふふ。笑)ですが、まだ先は長い^^;次章もまだ同じような雰囲気ではありますが、よかったらぜひまたお付き合い頂けると嬉しいです♪ (2015年5月5日 3時) (レス) id: e6fa685b25 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kico | 作成日時:2015年4月24日 23時