棘 Act2【KN】

肯定してるみたいじゃん！？ ページ24

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「持ち込まれた新聞社の編集担当が、たまたまウチと繋がりのある人間だったから、運よくこの状態で情報が入ったの。
　この写真はお蔵入りにさせてもらったけど、さすがにこんな写真があると、もう記事そのものは潰せなかった…」


お偉いさんが、顔を顰めて写真を目の前のシュレッダーに乱暴に突っ込んだ。
いわくつきのスチール写真は細かく糸状に裁断されていく。


「単刀直入に言うと、二宮とこのモデルの熱愛報道とやらが今日のスポーツ紙に掲載されます。
　ただし、ツーショット写真はなし。
　関係者からの情報のみで構成する記事ということで、こちらも手を打ちました」


は…
なんだよそれ！？

なんで今ごろミイナとオレが！

そもそも、関係者って誰！！


小さく舌打ちをすると、お偉いさんや幹部スタッフ達に一斉に睨まれた。
顔を逸らせたオレの隣で、マネージャーが頭を下げる。


「申し訳ありません。
　二宮さんから報告を受けた段階で、私がもっと動いていれば…」

「や、動いてくれてんじゃん！
　…この人のせいじゃないからね」

「そうね。二宮からの報告の時点で、ここまで予測はできないでしょう。
　そんなことより、マネージャー、今日からの二宮の仕事についてだけど…」

「はい、今日の午後も取材が数件入っていますので…」


マネージャは、手帳をパラパラ捲って今日の予定を読み上げた。


「いずれも映画雑誌の取材です。二宮さんにはどう対応してもらいましょうか。
　ゴシップ系の雑誌ではありませんが、もし先方から何か質問された場合は、二宮さんにはっきりと否定してもらうという事で…」

「否定はしません」

「え…」

「は？なんで？」


思わずマネージャーと一緒に顔を上げた。


「いや、否定しないと肯定してるみたいじゃん！？
　やだよ！
　そりゃ、おかしーでしょ！！」

「二宮さん！」

「……」


マネージャーに止められて、そこで口を噤む。


「事務所からのコメントは、あくまでも“友達の一人”で通します。
　調べたところ、彼女は付き合ってた当時に二宮とのことを匂わせるようなことを周辺に漏らしたり、ブログに書いたりしてるそうじゃないの。
　これまでも小さな噂が出ていたから、下手に否定して過去の余計な事まで掘り返されるのは藪蛇でしょう。
　先方の事務所とも打ち合わせて、既にその方向で合意しています」

「そんな…」

「では、その他の決定事項を今から伝えます。よく聴いて！」


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大人の事情。→←やられたわ(笑)。

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