お墨付き ページ18
.
「だから、言っちゃうとね、そん時からAがここに居るのは事務所のお墨付き出てんのよ。
でも…そんなのに左右されるのおかしいよね。事務所は関係ないんだから。
そーいうのって、オレたちがお互いにそうしたいと思うタイミングがあって、初めてそーするもんなんじゃないの？」
「和也…」
「オレはね、Aを守るよ」
「守る？」
「約束したじゃん。アナタは絶対にオレが守ります。でも…現実には、オレいつもAの傍には居らんない」
和也は私の頬を撫でながら、わざと顔を顰めて困った表情を見せて微笑んだ。
「前にも言ったとおり、オレのいるこの業界ってのは何があるかなんてわかんない。
無駄に恐れる必要はないけども、油断してたら寝首を掻かれる。そして業界で一番強くて力を持ってんのは事務所。だから、この論法だと、事務所にアナタ守ってもらうのが一番安全なんだよ」
「そんなことできないよ(苦笑)」
「そ、できない。実際問題として、所属タレントでもない人間を守ってほしいと頼んだってンなこと事務所はうんと言わない。
それに…オレにだってなけなしの意地があんのよ。オレの力でオマエ守りたいし、事務所に頭下げて力なんて借りたくない」
「うん…」
「だからね、決めたの」
和也は言葉を切って私をまっすぐに見た。
「オレは実を取ります。争わないよ？平和主義者だもん」
くふふ…と、和也は何やら思い出し笑いをしている。
「…？」
「事実、Aを本当の意味で守るにはオレは非力。
だったら、そんな小さな意地はくれてやるよ。実さえ取れんのなら、オレのプライドなんてのは考え方ひとつでどーにだってなんだから、って」
「…和也、それって…どういう意味？…“実”っていったい…？」
「さーね(笑)」
和也が不敵に口角を上げた。
「それはまだ教えらんない」
ああ…
答えてもらえなくても、和也が私のことを真剣に考えてくれていることだけはわかるよ…
私にはわからないそれが、和也の決意なのだと伝わってきて…
なぜだかまた心が揺さぶられて泣きたくなってくる……
「決めたの。それがオレの闘い方。
誰の為でもなく、オレがそうしたいから。だからAには関係ない。気にする必要もない。単なるオレのわがまま」
そう言って、頬から上がった指先が私の目尻をゆっくり辿る。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 609人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
kico(プロフ) - 莉依さん» わーい、莉依さん待っていてくれてありがとう＞＜！嬉しいです！！ (2020年9月7日 0時) (
レス) id: 890f6f329d (このIDを非表示/違反報告)
莉依(プロフ) - お待ちしてました＼(^-^)／ (2020年9月5日 23時) (レス) id: 5677d3abc5 (このIDを非表示/違反報告)
ひい(プロフ) - はい！次も楽しみにしていますね！ (2015年4月5日 1時) (レス) id: 0949fb1976 (このIDを非表示/違反報告)
kico(プロフ) - ミントさん» ミントさん、こんにちは^^キューンとしてもらえたのなら良かったです^^＊壁話の続きは準備に時間を頂いてその分スピードアップして駆け抜けたいと思っています。甘い終着点までお付き合いいただけたら嬉しいです＞＜/// (2015年4月1日 4時) (レス) id: e6fa685b25 (このIDを非表示/違反報告)
kico(プロフ) - ひいさん» ひいさん、こんにちは^^リアルタイムに浸っている妄想を形にしてしまいました///その時点で書きたい話を書いているので時間軸を行ったり来たりしていますが、リアルタイムな話もいくつかあるので、また良かったら覗いてやってください^^ (2015年4月1日 4時) (レス) id: e6fa685b25 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：kico
| 作成日時：2015年3月30日 12時
