お約束な展開 ページ27
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抱き締められて胸が苦しいのは、力を込められているからじゃない。
嬉しくて幸せに悲鳴を上げてるからなんだと実感する。
久しぶりの和也の温もり。
ほんの１０日ばかりなのに、随分懐かしい気がする。
私も背中に腕を廻して、胸に頬をすりすりしつつ、ふと気になった。
「あ、和也、晩御飯は？」
「…っと！！」
顔をばっと上げると、和也の顔の角度が変わっていて、危うくぶつかりそうになる。
「ご、ごめんなさい！！」
「…あっぶねー！！！
「オマエねー…あと数秒ずれてたら、どーすんの！
…っつーか、このタイミングでいきなり動くなんてありえないでしょ！」
「あ、その…機内食、食べたのかなーって…」
「機内食…？
あー、うん、食べたけど…
なんかさ、あーいうのって少ししか入んないんだよねー」
「お味噌汁と簡単な煮物ならあるんだけど…食べる？」
「えーー！いまーー！？」
くはー…と和也が苦笑した。
え？
そこ、笑うところ？
違うよね？？
「…そーね、Aの料理は食いたい。
でも、ちょっと待って！」
「え？」
「ほら、こーいう時って、お約束な展開ってのがあんじゃないのかなーって、二宮サン思うワケですよ」
「は？」
和也がニマニマ笑って私を伺う。
「えー？わかるでしょ？」
「わかんない」
「ホントに？…冗談でしょ」
「…え、何？？」
「…は？マジで？」
「マジで」
「……」
「……」
「えー！！
なんつー鈍さ！！
相変わらず、オマエ鈍っ！！」
「！？」
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作者名：kico
| 作成日時：2014年9月28日 15時
