YES ページ28
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「な、何よ、鈍い鈍いって！
帰って早々、喧嘩売りたいの？」
ムカッとして言い返したら、両肩を掴まれて、ごつん、と額を合わせてきた。
「喧嘩！？
はー、もう！真逆でしょ！
なーんでいつもそーいうとこ鈍いのかね、このお嬢さんは！？」
えっ？？…と驚く間もなく、唇にちゅっと触れ合うだけのキスが落ちる。
「！」
「あの雰囲気なら“食気より色気”でしょ、ふつー！」
反論する隙を与えられず、もう一度、キスが唇に落とされた。
今度は、さっきよりも長めのキス。
後頭部を一瞬くっと掴まれ、しっかりと触れ合って…それから、そっと離れた。
そして、今度は離れた唇が触れ合うギリギリの距離に留まり…
「あのさ…」
と和也の声が一転して甘い囁きに変わる。
「飯…よりね、オマエが食いたい…みたいな展開…A知らない？」
後頭部を掴まれているので、動けない。
キスするかしないか…そんな距離での囁き声と、目を細めて見つめて来る熱い視線に、身体がビリッと痺れて、ビクッと震えた。
身体を走りぬけていく感覚に支配されて和也の言葉は頭に入らず、よく理解できないまま首を小さく横に振る。
と、同時に一緒に動いた唇が和也の唇と微かに触れて離れて擦れ合って、またそこからピリピリッと甘い刺激が身体に走る。
ああ、もう逃げられない――。
「…ん…じゃあ、さ…教えたげよっか…」
囁きながら、和也の両手がゆっくりと私の頭から左右の髪を撫でて滑り下り、両頬にそっと添えられた。
だめだ…
YES以外の答えが浮かばない…。
「ん…」
喉の奥から漏れた私の返事を確認して、ふ…っと男の笑みを浮かべると、和也の噛み付くような深いキスが降ってきた…。
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作者名：kico
| 作成日時：2014年9月28日 15時
