Scene５ 扉 ページ15
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タクシーで叔父さんと実家に帰った頃には、お昼近くになっていた。
2人で軽くお昼ご飯を食べると、叔父さんは事務所の電動シャッターを開けて、ガラス製の表玄関に鍵を掛けたまま明かりをつけた。ゆっくりと製図台の横の机まで歩いて、ヒロが整理していた郵便物の束を手にしている。
「叔父さん、帰って来て早々そんなことして大丈夫？」
「ああ。大丈夫だよ。業者が手続きに来るかもしれないからねえ。事前に何か連絡が来てないか確認しておかないとなあ」
チェックした何通かを手にゆっくり自宅側へと戻って来ると、叔父さんは事務所に灯りをつけたまま、事務所と自宅との境の扉を後ろ手に閉めて、廊下の窓側に置いてある椅子に座った。
暖かい午後の日差しが庭から差し込んでいる。
「わしが退院できたのもマサト君のおかげだよ。お礼を言わなければならんなあ…」
そう言って庭木を眺めている叔父さんに、ちょうどいい機会だと私も隣に並んで座った。
「あのね、そのマサトのことなんだけど…」
「ん？なんだね？」
笑顔の叔父さんに、私は静かに切り出した。
「叔父さん、話さなきゃいけないことがあるの」
「？…なんだい改まって？」
「あのね…私とマサトはそういう関係じゃないの」
本当のことを説明して謝ると、叔父さんは最初はとても驚いた顔をしていたけれど、すぐにうんうんと頷いて逆に「そうだったんだねえ、すまなかった」と申し訳なさそうな顔をした。
「マサト君のことは何となく気付いておったよ。お前が浮かない顔をしているのもわかってはいた。
だが、ヒロとお前が何も言わん以上は、わしも聞くまいと思ったんだ。年寄りが口出すことではないからねえ。
わしがせにゃあならんのはリハビリを進めることだと、とにかく身体を動かすことに専念させてもらったよ。おかげで、このとおり退院できたんだからねえ。わはは(笑)」
わしが自分を鼓舞できたのはマサト君がきっかけなのは事実だから、やはりありがたいことだねえ、と叔父さんが笑った。
「今日のAは、いい顔をしているよ」
「叔父さん…」
「いま、幸せかね？」
「うん」
離れていても和也を感じてる。
「幸せだよ」迷いなく言える。
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kico(プロフ) - もちさん» あんな展開でしたから不安になりますよね＞＜言葉にせずに伝わることもたくさんあるんだけれど言葉にすることで初めて正しく通じることもあって…誤解や思い込みが重なりましたがちゃんと言葉にすることができてよかった^^＊もちさんありがとうございました！ (2019年9月28日 7時) (
レス) id: 890f6f329d (このIDを非表示/違反報告)
もち(プロフ) - この2人はどうなってしまうのだろうか…と時々不安を感じながら、でも、きっと分かり合えると信じて読んでいました。お互い分かっているようで、やっぱり言葉として表現しないと通じないものだなと感じさせられました！ありがとうございます！ (2019年9月28日 4時) (レス) id: c96fed03c3 (このIDを非表示/違反報告)
kico(プロフ) - miさん» こんばんは^^読む専門で問題なしですよ^^＊このような妄想話を読んでくださっていることに感謝ですし、こうしてコメントまで…(嬉涙)ありがとうございます！書きたいことを好き勝手にだらだら書いていますのでmiさんの温かいお言葉が嬉しすぎて小躍りしています(//∇//) (2019年9月28日 2時) (レス) id: 890f6f329d (このIDを非表示/違反報告)
mi(プロフ) - こんばんは。いつも読む専門ですみません。丁寧に物語を進めてくださることで、情景や感情の動きがとてもわかりやすいです。2人が同じ未来を描いていける想いを重ねられることが何より幸せですね。続きのお話も楽しみにしています。無理をされませんように…。 (2019年9月27日 22時) (レス) id: b388220049 (このIDを非表示/違反報告)
kico(プロフ) - 亜衣さん» 2人がこれからどんな未来を手に入れるのか^^＊だらだら好き勝手に独りよがりな妄想を晒しているだけのお恥ずかしい私ですのでとんでもない(苦笑)でも愛だけは籠めまくっていますので、ええ(エッヘン！笑)この先もまた一緒に共有して頂ければ私も幸せです(≧∇≦) (2019年9月27日 10時) (レス) id: 890f6f329d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kico
| 作成日時：2019年8月25日 6時
