契約ノカタチ Act7【KN】distance 4 (ページ5)

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くしゅん！ページ5

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雨で濡れた頭を脱衣所のタオルでガシガシと拭きながら、リビングに戻った。
窓の外は、まだ冷たい雨が降っている。

あー…
やっと掴まえた―――！！

雨の中で泣いてるAを胸の中に抱き締めたら、なんだろな…もう何かたまんなくなっちゃって。
強く強く両手に力を籠めて。

そのまま2人雨に打たれてたけど、くしゅん！と胸の中から小さなくしゃみが聞こえて我に返った。

抱き締めた身体はすっかり冷たくなっていて。
瞳から涙をぽろぽろ零しながら、言葉にならない気持ちを一生懸命伝えようとしてくれてるAが愛おしくて。
バカだねー、まずはこのくっそさっぶい中、雨と風で冷え切ったアナタの身体をあっためるのが先でしょ！って手を引いて風呂場に連れてった。

だって、くしゃくしゃな泣き顔ですら可愛いとしか思えないんだから。
ずっと抱き締めてたいけど、このままじゃ肝心の話なんてできないじゃん。

歩きながら、早口で今夜のうちに帰って来れた理由を簡単に説明して。

局地的な大雨の予報が急に出て撮影時間が限られてしまったこと、
だったら雨が降り出すまでに全力で撮れるだけ撮ろうという話になったこと、
スタッフと力を合わせたらめちゃめちゃいい映像がいっぱい撮れたこと、
このまま大雨の中で山中泊して明日カメラを廻したとしても、もうこれ以上の画は撮れないという判断になったこと、
結果、数時間のロケでも1泊以上の撮れ高があって文句なく撤収になったこと。

話をしながら脱衣所で張り付いた濡れた服を脱がせて、なぜか手にしっかり握ってたオレのシャツも一緒に洗濯機に放り込み、問答無用でAを風呂場に押し込んだ。

「んじゃ、しっかり温まって出てきなさいよ」

「…うん」

素直に肩までお湯に浸かって小さく頷いたのを確認して。
白い肌に目が吸い寄せられてしまう前に、オレも手早く服を着替えると、タオルを片手に脱衣所を出た。

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大事なのはこれから。

お互いに話さなきゃなんないこといっぱいあるよね。

ルーフバルコニーのガラス戸をカラリと開けた。
雨に濡れない窓側の軒下で煙草に火をつけて、ふう…と煙を雨で湿った夜の闇へと吐き出して。

『…二宮さん、バスの中っすか？
　さっき楽屋で伝えそびれたことがあるんすよ。聴いてもらうだけでいいんで、今から俺この電話でちょっと喋ってもいいっすか？』

ロケバスに乗ってすぐ、ニッシーから掛かってきた電話のことを思い出していた…。

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