契約ノカタチ Act7【KN】distance 4 (ページ2)

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辻褄ページ2

＋＋＋

なんだ…

そうか…
そういうことなんだ…。

切れた電話を眺めながら、可笑しくなった。

『…それは、貴女が知らなくてもいいことだよ(笑)』

センター長さんは私の質問には答えてくれなかった。

『会議に来た貴女を、僕が即戦力で欲しいと思った。それが全てでいいじゃない』

嘘だ。
だったら、誰でもできる仕事だとか、副センター長のポストだとか、辻褄が合わない。

否定しなかったということは、やはり他の目的があるということ。
私は純粋に仕事で評価されて逆指名された訳じゃない。
マサトが言っていたとおり、誰かの見えない思惑や何か別の意図があって、それが何かはわからないけれど…だから逆指名されたんだ。

笑いながら和也のベッドに倒れ込む。

少しでも自分が評価されたと思った自分がバカみたい。
そうだよね、こんなイレギュラーな人事交流なんておかしいもの。

私の仕事ってなんだろう…。
私が頑張る意味って…。

虚しくて、笑うしかない。

「……」

もし本当にそうだとするならば。
得体のしれない思惑には乗りたくない。
だけど、下手に動いて周りの人たちに迷惑をかける訳にはいかない。

叔父さんのことも…
仕事のことも…
和也とのことも…

見えないところに隠された何かがあるとしても、私はいま見えているものだけで自分のこれからを決めなくてはならない。
だったら…私は…何をどう選択すればいい…？

大切なものが何なのか。

本当に守らなきゃいけないものは何なのか。

私は、これから何をどうしたいと思ってる？

.

きっと、この部屋に来て和也の気配を嬉しく感じた時点で、私自身の答えはもう見えていて。

私に和也の手は離せない。

だけど…
私が縛り付けていい人じゃない。

和也の足枷だけにはなりたくないの。

どうせいつかは手を離される。

だったら…
和也を縛り付けてしまう前に…

この手を…離してもらうしかないんじゃ――――…

「……」

あれだけマネージャーさんに言い切ったのに、こんなことを考えているなんて…

…でも、迷うよ。

本当にいいの？
怖い。苦しい。
迷ってばかりの弱い私…。

きっと、ミイナさんだったらこんな時だって迷わないんだろうな…なんて。
ミイナさんなら和也の手を離さない。

ああ、私にその強さがあったなら…。

カタン…！と、不意にバルコニーで音がした。

あ、まさか…！！

掛けておいたシャツのことを思い出し、慌てて立ち上がった。

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