15 ページ29
.
「…期待しちゃった(笑)？」
「えっ///？…し、してないよ！」
「や、してたな。すぐわかんだって。今の顔は絶対してた」
「してない///！」
「ふーん…(笑)」
ああ、バレてる。
だけど、「してました」なんて言えないよ。
ますます熱くなった頬で、知らんぷりして桜を見上げた。
満開を過ぎた桜の散りゆくさまは、本当に綺麗で…。
風がそよぐと、またヒラヒラと髪に降って来る。
自分の手でも払ってみたけれど、キリがない。
「A、そこ(笑)」
「え、どこ？」
「こっち。またついてる」
「うん…」
取ってもらい易いように動きを止めると、左手が伸びてくる。
そ…っと上目遣いに見上げると、和也とまた目が合った。
さすがに、もう勘違いなんてしない。
どんな目で見つめられていたって、大丈夫。
「ありがと。取っても降ってくるから、キリがないね(笑)」
「…そーね」
髪についてる花びらに伸びたはずのひんやりした左手が、今度は手の甲で熱いままの頬に触れてきた。
「…？」
和也が目を細めて覗き込んでくる。
「…ホーント、キリがない…」
「…？」
不意に一陣の強い風。
ザザザーッとまた大きく枝を揺らすと、舞い散った花びらだけでなく、今度は地面から舞いあがった花びらも一緒になって、さっきより沢山の花びらが降ってきた。
ああ、すごい…！とっても綺麗！！
同時に。
桜吹雪の中…
風に乱れた髪を耳に掛けるように優しく撫で上げられたかと思うと、顔を傾けてグイッと力で引き寄せられて。
一瞬、唇が触れ合い…
すぐにゆっくりと離れた。
「え…///？」
固まった私を見て、してやったりという顔で和也が笑う。
「ま、ご期待にね、応えてみました(笑)」
「ちょっ…私は別に…///！」
「あれ？したくなかった？」
くふふと笑いながら、和也が耳元に唇を寄せて囁いた。
「…オレはね…したかった…」
「えっ？」
「もっかい…試してみよっか…」
驚く間もなく再び顔が近付いて…
触れるだけのそれを、今度は自分から瞳を閉じて受け入れる。
「…ほらね(笑)？」
「…バカ///」
ほんの一瞬のことなのに。
もっと親密な時間だって何度も経験してるのに。
こんな場所でこんな時に交わしたそれは、私たちにとって、何だかとてもすごい事のようで…
目が合うとすごく照れくさくて。
私たちはおでこをくっつけ合ったまま、恥ずかしさを誤魔化すように、クスクスと笑い合った。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1111人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
kico(プロフ) - ゆうきさん» 初めまして。自己満足で書いてきた勝手な妄想ですが楽しんで頂けたのなら嬉しいです。もう新しいお話は書きませんが、いつかどこかで何かのご縁があった時には♪どのお話にも愛だけは目いっぱい籠めて書いてきました。最期まで読んでくださってありがとうございました^^ (2020年10月12日 9時) (
レス) id: 890f6f329d (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - 初めて送ります…ウラつく読者デビューは、この作品でした。とても楽しく読ませて貰いました。もっと読みたいなあと言うのが正直な気持ちです。 (2020年10月9日 20時) (レス) id: 62321c58f8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：kico
| 作成日時：2016年3月26日 12時
