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「降りる…って…ここで？…え、どうして？？」
「こっからじゃ見えないけど、裏庭に大きな早咲きの桜の木が何本かあんのよ。
建物には入れないけど、そこから裏に廻れるから」
和也が指さす方を見ると、裏庭への通路が見える。
「それ見に来たんだから、ほら、降りて降りて」
「ちょ、ちょっと待って！さすがにそれはダメだよ、もし誰か来たらどうするの！」
「だから、言ったでしょ？
さっき通った管理地入口の自動門扉からこっちは、もう部外者は入れません」
「それって、ここが事務所の管理地だからでしょ？だったら、逆に事務所の人が来る可能性があるってことだよ？」
「管理人なんていないし、暫くはオレらが借り上げたことになってんだから、他の人は来ませんって(笑)」
「でも…」
窓の外にあるのは、しっかりと手入れの行き届いた植え込みと、綺麗に咲いている玄関のお花。
「……」
確かに今は誰もいないかもしれない。
でも、定期的にメンテナンスするために誰か来ているのだとすれば…。
それは、おそらく事務所関係の人で…。
視線を追って私の考えていることに気付いた和也は、「…あー、なるほどね。アナタこーいうとこだけ鋭いよねー」と苦笑した。
「だって…こんなによく手入れされているってことは、事務所の人が定期的に来ているってことだよね…？」
「確かに来てるのは来てるらしいけど、月に何回か。
それも、朝から一日がかりの作業らしくて、合宿の邪魔をしないようにって、基本、誰かが借りてる間は事務所の人間は来ないことになってんの。
例え突発的に来たとしても車だから。エンジンの音が聞こえない限りは大丈夫」
裏庭でも、エンジン音くらい余裕で聞こえんじゃん…と笑って見せた後。
和也はまっすぐに私を見て、静かに続けた。
「…ま、もし万が一に、事務所の誰かに見られたと仮定してもだよ。
事務所はアナタとのことわかってて、事実関係も知った上で黙認してんだからさ。
だから、今のオレがあんのよ。
それだけはね、今さらどうこう言わせない。そこだけは絶対に譲るつもりはないから」
「和也…」
「言ったでしょ。何があってもオレがオマエ守るって。全部任せてオレを信じてって」
「…うん」
「大丈夫だって。心配しなくていーから。AはAのままで、そこに居なさいよ」
私のままで…ここに…。
小さく呟く私に、和也が笑って頷いた。
「そ。…さ、行くよ！」
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kico(プロフ) - ゆうきさん» 初めまして。自己満足で書いてきた勝手な妄想ですが楽しんで頂けたのなら嬉しいです。もう新しいお話は書きませんが、いつかどこかで何かのご縁があった時には♪どのお話にも愛だけは目いっぱい籠めて書いてきました。最期まで読んでくださってありがとうございました^^ (2020年10月12日 9時) (
レス) id: 890f6f329d (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - 初めて送ります…ウラつく読者デビューは、この作品でした。とても楽しく読ませて貰いました。もっと読みたいなあと言うのが正直な気持ちです。 (2020年10月9日 20時) (レス) id: 62321c58f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kico
| 作成日時：2016年3月26日 12時
