勝どき ページ5
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「えー？ちょっと重いよー(笑)！」
「ちょーどいま腰が痛くなんない座り方考えてたんだけど、あー、これ最高だなー」
「そんなー！」
「や、マジで角度的に、こっからあの画面でゲームすんのにベストだもん。
今からこのステージクリアすんだけど、その間じっとしてなさいよ」
「だったら、ちゃんとソファに座ってやってよ(笑)！」
「やだ」
「やだって、もう(笑)！」
背中合わせだから表情は見えない。
和也は男の人にしては細い方だと思うけど、体重を掛けられたらさすがに重い。
まあ…それでも私が強引に立ち上がれば逃れられるとは分かっているけど…
うーん、どうしよう。
和也は私に体重を掛けたまま、よいしょとクッションまで腰に敷いて高さを微調整して、本当にゲームを始める準備をしている。
「ひとステージ３分くらいかな。観念してじっとしてなさいって」
「でも…途中でやられたら、もう一度ステージ最初からやり直しでしょ？３分じゃ済まないかもしれないじゃない」
「言ったね？オマエさ、オレを誰だと思ってんの(笑)。…まー見てなさいって、こんなのちょろいんだから」
「背中合わせじゃ見れないでしょ！」
「はいはい、いくよー」
「ええーっ！」
いつものゲームミュージックが流れ始めた。
後ろを振り返ることもできなくて、体重を掛けられたまま待っていると、背中でコントローラーを操作している和也は、３分経たずに「ハイ、やったー！」と勝どきを上げた。
どうやら、宣言通りあっさりとそのステージをクリアしたらしい。
よし、終わりかなーと思ったら…
「…ん？…あら、このステージでこの勝ちパターンだと、へー、このまま次に行けんのか…」
何やらゲームが別展開を見せているようで。
「え、和也、ちょっと…さっきのステージ終わったんじゃ…」
「終わったけど、面白い展開になったからもうちょっとそのまま。動くなよ(笑)？」
「えー！嘘でしょ！？」
「や、ホント」
くくく…と肩を揺らしながら、また体重がぐぐーっと掛ってくる。
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作者名：kico
| 作成日時：2016年7月2日 7時
