海外から帰ってきた財閥の会長はヤンデレな兄を持ち、キセキ達に気に入られてました？《2》 (ページ20)

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第56Q「大切な友達」"★" ページ20

…眠くなる。
まだ何かを考えている様子の祥吾の隣で
雲ひとつない空を見上げながら
さつきを待っている僕。

するとドアの向こうから
タンタンッと足音が聞こえ、
少しずつこちらに
近づいてきていることがわった。

さつきだ！
立ち上がり、
ドアに向かおうとしたその時。

ガチャッ。

桃「Aちゃん！」

息を切らしながら僕を呼ぶさつきがいた。

「さつき！」

お互いに駆け寄り、抱きつく。
ふわっとさつきの甘い香りがした。
う…胸が邪魔。

桃「久しぶりだね、Aちゃん！」

僕の手をとり微笑むさつき。
さつきの笑顔は本当に元気が出る。

「うん！
…急に消えて、ごめん。」

罪悪感を感じてか、
咄嗟に目をそらしてしまう。

連絡しないで消えたから、
心配、したよね…。

桃「大丈夫だよ！
今日、こうして元気な
Aちゃんに会えたんだから！」

…嬉しい。
心が暖かくなる。

桃「ところで、灰崎くんはどうしたの？」

ひょこっと
僕の後ろの方にいる祥吾を見るさつき。

「あー、なんか、
今まであったこと
話してたらあんなんになっちゃって。
さつきにも、ちゃんと話すね。」

桃「う、うん。」

祥吾の真剣な表情を初めて見たのか、
緊張した顔つきになるさつき。

僕は祥吾の時と同様、
今まであったこと、
そして僕の今の気持ちを全て話した。

僕が話を終えた後のさつきの表情は
話す前よりも固く、暗かった。

やっぱり、
こんな話するべきじゃなかったのかな。
大切な友達に、こんな顔させたくなかった。

…ごめん、さつき。