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Ki side
どのくらいそうしていたのか。溶け合うような感覚に酔わされて時間の記憶がない。どちらともなく離れた唇。目の前に見えるそれがきらきらと光ってまた欲しくなる。無意識にその唇を見つめていた。
「きたやま、」
「ん、」
その唇が小さく動いて、俺の名を紡ぐ。
「言わせて、いま。それから答えが欲しい。」
「ん…？」
「きたやまのことがすきです。他の誰にも渡したくない。だから俺の隣で、一緒に年を重ねていってくれませんか。」
見上げた美しい顔のきらきらした瞳が柔らかく弧を描く。まるで愛おしいと伝えるように。
あぁ俺、なんで気付かなかったんだろう。
ずっとこの瞳のなかに入りたかったのに。
視界に入れてもらえなくても、言葉を交わさなくても、同じ空間にいる。その存在を目の前で見ることができる。それだけでいいなんて強がって、自分の気持ちにさえ気付かないように無視して蓋をして。冷たい態度が、冷たい言葉が悲しくて、傷つかないようにと都合の良いように変換して。
みんなと同じようにあの笑顔で笑ってほしかった。みんなと同じように名前を呼んで欲しかった。だけど叶わないと決めつけて何でもないような振りをして、何でもないように接してきた。本当はもっと近くで、ふじがやの一番近くで熱を感じて、言葉を交わしていたかったくせに。ふじがやのことをずっと、求めていたくせに。
「ふじがやと、いっしょ、いる、」
ふじがやのくれたロマンチックな言葉に対してカタコトで拙い言葉。だけど気付いてしまった。ふじがやのことをずっとずっとすきだったことに。それに気付いてしまったら、もう止められなかった。
「きたやま、」
頬を包んだ手が暖かい。右手の親指が目の下をゆるりと撫でるように動く。目の前でゆらゆらと揺れるふじがやの顔が嬉しそうに微笑んでくれる。
「いっしょ、いる、から、離さないで、」
「もちろん。一生離さないよ、」
そう言って抱き締めてくれたふじがやの温度は一生忘れられないだろう。
ずっと、こうしてほしかった。
お前の一番近くで感じられるこの温度をずっと待っていた。
服を掴んでいた手をふじがやの背中に回して、待ち望んだ幸せな温度に身を委ねた。
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imtr(プロフ) - まいまいさん» まいまいさん コメントありがとうございます！面白いと言ってもらえて嬉しいです！もう少し続いていきますので、引き続き楽しんでいただけるよう頑張ります！ (2021年5月23日 18時) (
レス) id: 768e339076 (このIDを非表示/違反報告)
まいまい(プロフ) - えー、わからない…続きが読みたくて読みたくて気になりすぎです！！面白いです。続き楽しみにしています！ (2021年5月23日 0時) (レス) id: d8ffbdef31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：imtr
| 作成日時：2021年5月19日 12時
