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Ki side
「…ごめんなさい」
せっかく楽しかったのに。自分の考えのなさにがっかりする。俺たち以外誰もいないところで、リラックスして話せて、ふじがやの近況を知って。もっと話していたい、一緒にいたい。そう思っていたのに。気分がしゅんとして俯いてしまう。
「でもちょっとは近づけたかな、きたやまに。」
そう言って藤ヶ谷は遠慮がちに頭を優しく撫でてくれる。それにつられて顔をあげて見ると俺を見る目が優しくて。
「少しでも近づけてるなら嬉しい。」
俺に向けてくれる声が、頭から降りて頬に触れた指が暖かくて、
「ふじがや、」
もっと、触れたい。もっと、近くに、
そう思ったとき、吸い寄せられるように腰をあげて、目の前の美しい瞳にキスをしていた。
「きた、やま？」
「あぇ？え、あ、えっと、あの、その、え？」
なんで、おれ、こんな、え？自分でやったくせに、行動の理由がわからない。
「ごめん、きたやま、」
そう聞こえたと思う。聞こえたかと思ったときには藤ヶ谷の顔は見えなかった。代わりに暖かい温度が、唇から伝わった。きす、されてる。そう気付いたのはしばらくしてからだったように思う。でもそれは柔らかくて、優しくて、今までのどのキスよりも気持ちよくて。俺は開いていた目を閉じて、触れていた服をもう一度掴んだ。
「んっ…」
ちゅ、と音をたてて離れていく温度を、名残惜しく思いながら目をゆっくりと開ければ、苦く微笑む目の前の美しい人。頬に触れている指がかすかにふるえている。
「ごめん、我慢できなかった。嫌だった、よね？」
ちがう！と言いたいけど、なぜだか声が出なくて、ふるふると首をふることだけしかできない。
「嫌じゃ、なかったの？」
嫌なんかじゃ、なかった。こくん、とゆっくり首を縦に振ればさっきよりも近づいてくるふじがやの体。
「もう一回、していい？」
耳に届く柔らかで優しい声。なんと答えていいのか言葉がでてこなくて、恥ずかしくて、だけどもう一度、あの暖かさが欲しくて。服を掴んでいた手を離して彫刻のような頬に手を伸ばした。頬に触れたかと思ったときには奪うような、それでも暖かいキスが降ってきた。それは激しくて、苦しくて、だけど望んでいた、欠けたなにかを埋めてくれるようなキスだった。
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imtr(プロフ) - まいまいさん» まいまいさん コメントありがとうございます！面白いと言ってもらえて嬉しいです！もう少し続いていきますので、引き続き楽しんでいただけるよう頑張ります！ (2021年5月23日 18時) (
レス) id: 768e339076 (このIDを非表示/違反報告)
まいまい(プロフ) - えー、わからない…続きが読みたくて読みたくて気になりすぎです！！面白いです。続き楽しみにしています！ (2021年5月23日 0時) (レス) id: d8ffbdef31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：imtr
| 作成日時：2021年5月19日 12時
