迷子の白兎 2 ページ21
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「かい、がく……獪岳おにいちゃん?」
「!」
獪 岳 お に い ち ゃ ん
思わず言葉に詰まる。
「お兄ちゃんじゃ……」
「あっ、ちょうちょ!」
手を離しひらひらと舞う青い蝶を追いかけようとするチビ……A。
「てめぇまた迷子になりてえのか!」
慌てて着物の首根っこを捕まえると、不服そうな視線を向けてきやがった。
「それに俺はてめぇの兄貴じゃねえ。普通に呼びやがれこのクソガキが」
「…………むにゃ」
「……はあ……まじかよ……」
どうやら半鬼は睡眠を必要とするらしい。
だとしても今眠るか?普通。この状態で眠ってんのは無防備にも程があんだろ……
「とんだ災難だ……クソっ……」
すよすよと呑気に眠るAを抱き抱え直すと、俺は足早にボロ神社へと向かった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「着いたぞ。……まだ寝てんのか」
「んうう……」
ボロ神社の裏手から中に入る。神社の中は荒れてこそはいるが、日光は遮れるから問題はねえ。
Aを適当に床に寝かせようとしたら、俺の着物を掴んで離さねえ。まじかよ。
「……はあ……」
試しに無理やり手を引っ張ったりしても無駄だった。寝てるくせに力強いな……。
「おに、ちゃ……かいがく、おにちゃ……」
「…………」
俺の着物をぎゅうっと掴むとむにゃむにゃ寝言を言うA。
ほんの少しだけ、可愛いと思ったのは気の所為だ。多分。
「しゅき……かいがく、おにちゃ……」
「!」
前言撤回だ。コイツは可愛い。少なくとも眠っている時は。
「……世話の焼けるヤツだ」
そう独り言を呟くと、起こさないようにそっと頭を撫でた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「……?」
「やっと起きたかよ、もう夕方だぜ?ねぼすけ」
「うー……」
俺の着物を掴んだまま瞼を擦るA。
大あくびをするとまだ眠そうに瞳をしょぼしょぼさせていた。
「陽が落ちたら下まで送ってってやる。わかったか?」
「……」
「……んだよ、不満か?」
「ぼく、獪岳おにいちゃんとおともだちになりたい……」
お と も だ ち ?
鬼に友達も何もねえだろ。そう言い返したいが……
だめ?と言わんばかりにキラキラした丸い瞳に見つめられたらそんな事は言えなくなる。
「……仕方ねえな……特別になってやる。本当に特別だからな。感謝しやがれ」
「ほんと!?やったー!うれしい!おともだちふえた!」
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こよみ(プロフ) - 春斗さん» はじめまして。いつも読んで下さってありがとうございます!また、リクエストやお気遣いまで非常に嬉しいです〜!ゆっくりではありますが、これからも書き続けるので楽しみにしていただけると嬉しいです! (2021年6月30日 8時) (レス) id: 425489c0a2 (このIDを非表示/違反報告)
春斗(プロフ) - 初めまして。こちら楽しく拝読させて頂いております!リクエストなのですが、累くんのところに遊びに行く夢主くんと、それについていった童磨が気になります…!この時期は特に体調崩しやすいので、ご自愛下さいませ。お身体お大事になさって下さい…! (2021年6月30日 3時) (レス) id: 8cfab7cc4c (このIDを非表示/違反報告)
こよみ(プロフ) - charaさん» リクエストと感想ありがとうございます……!とっても励みになります(*´ω`*) 更新頑張りますね! (2021年6月27日 14時) (レス) id: 425489c0a2 (このIDを非表示/違反報告)
chara(プロフ) - リクエストで猗窩座との絡みが見たいです・・・追記このお話めっちゃ面白くて好きです!無理のない程度で更新頑張って下さい!! (2021年6月27日 14時) (レス) id: fa1ff43ec6 (このIDを非表示/違反報告)
こよみ(プロフ) - 狼河@チビ同盟さん» リクエストありがとうございます……!堕姫ちゃん!お話練ってみますね! (2021年3月12日 19時) (レス) id: c39eaef263 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こよみ | 作成日時:2020年2月14日 1時