迷子の白兎 (完) ページ22
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ガキらしくきゃっきゃとはしゃぐAの頭を照れ隠しにわしゃわしゃと撫でてやる。
嬉しげに笑っていたが、はっとしたように何故か懐を探りはじめた。
「なんだ?」
「えっと……あ!これ!」
Aが懐から取り出したのは、綺麗な青い帯飾りだった。
「獪岳おにいちゃんにあげる!おともだちだから!」
「俺は帯飾りなんか使わ……」
「……」
「ああもう仕方ねえな……貰ってやる……!」
断ろうとしたら泣かれそうだったから、半ば奪うように帯飾りを受け取った。
俺の趣味じゃねえが、まあ悪くはねえ。
懐に仕舞って、ふと外を見れば陽は落ちていた。
「ほら、ガキは帰る時間だ」
Aの手を掴むと立ち上がり、ボロ神社から外へ出る。湿った風が頬を撫でた。
「……A」
「なあに??」
「……帯飾り、ありがとうな」
言っておいて照れ臭くなった俺は、きょとんとするAを抱き上げると山の下目がけて走り出した。
趣味じゃねえとか思ったけど、今度会う時には着けてやってもいいかもしれねえ。それでAが喜ぶなら。
「おら、着いたぞ。もう迷い込むんじゃねえぞ」
「あっという間についた……!」
俺の脚なら一瞬だ。当たり前だろ。誰よりも速い自信だってあるしな。
「獪岳おにいちゃん」
「あ?」
「またあえる?」
「……当たり前だ。……友達、なんだろ」
「!……えへへ……よかった……!」
ふにゃふにゃ笑うAをそっと降ろす。
早く帰さねえと俺が上弦の弐に怒られる。
「またね!獪岳おにいちゃん!」
手を振って街の方へ走り出すAの背中を見えなくなるまで見送った。
友達……か。
「まあ、悪くはねえな」
そう呟くと、山の中へと帰っていった。
また会える日を、ほんの少しだけ楽しみにしながら。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
おまけ会話文。Aが帰宅しました。
「A〜!!!どこにいってたんだい!?心配したんだよ!?」
「ご、ごめんなさい……」
「もう一人で出歩くのは禁止!累のところに遊びに行くのも、俺が一緒に行くからね」
「ば、ばれてたの!?」
「ははは、最初から分かってたよ?」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
獪岳はツンデレっぽい感じがするかなぁと……!
なかなかに難産でした……
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こよみ(プロフ) - 春斗さん» はじめまして。いつも読んで下さってありがとうございます!また、リクエストやお気遣いまで非常に嬉しいです〜!ゆっくりではありますが、これからも書き続けるので楽しみにしていただけると嬉しいです! (2021年6月30日 8時) (レス) id: 425489c0a2 (このIDを非表示/違反報告)
春斗(プロフ) - 初めまして。こちら楽しく拝読させて頂いております!リクエストなのですが、累くんのところに遊びに行く夢主くんと、それについていった童磨が気になります…!この時期は特に体調崩しやすいので、ご自愛下さいませ。お身体お大事になさって下さい…! (2021年6月30日 3時) (レス) id: 8cfab7cc4c (このIDを非表示/違反報告)
こよみ(プロフ) - charaさん» リクエストと感想ありがとうございます……!とっても励みになります(*´ω`*) 更新頑張りますね! (2021年6月27日 14時) (レス) id: 425489c0a2 (このIDを非表示/違反報告)
chara(プロフ) - リクエストで猗窩座との絡みが見たいです・・・追記このお話めっちゃ面白くて好きです!無理のない程度で更新頑張って下さい!! (2021年6月27日 14時) (レス) id: fa1ff43ec6 (このIDを非表示/違反報告)
こよみ(プロフ) - 狼河@チビ同盟さん» リクエストありがとうございます……!堕姫ちゃん!お話練ってみますね! (2021年3月12日 19時) (レス) id: c39eaef263 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こよみ | 作成日時:2020年2月14日 1時