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あれから1年。結局のところ、私はおじいちゃんの言った通り雷の呼吸は使えなかった。全く使えないという訳ではなく、一応全ての型を出せるのだが、壱の型は善程の速さを出せないし、他の型も獪岳のような威力は出せない。足が雷の呼吸に合ってないっておじいちゃんは言ってた。


でも鬼の頸を取れないほどではないので最終選別を終えてから音の呼吸を習うことにした。


今はその最終選別の会場である藤襲山に向かっているところなのだが…



「死ぬ死ぬ死ぬほんとに死ぬ今日が俺の命日だ。Aちゃん俺が死んだら骨は拾ってくれよ!いやその前に結婚してくれよぉ!頼むよぉぉ!俺を守ってくれよ!」


と、ずっと善が騒ぎ立てているのだ。正直うるさい。


『あのさぁ善。おじいちゃんも言ってたでしょ?善は弱くないって。壱の型だって私より早くて強いんだから大丈夫だって。ぶっちゃけ私の方が心配よ。結局ちゃんと呼吸使えないし…』



「強くないよぉ!俺は弱いんだよぉ!Aちゃん俺を守ってくれよぉ!」



なんなんだ守ってくれって。私が守って欲しいわ。大体男が女に守ってくれって恥ずかしくないのかこいつは。道中ずっと騒ぎ立ててるから周りの目が痛い。


………置いて行こっかな…



『あーもううるさい!!!とにかく行くよ!善は死なない!これ以上騒いだらマジで置いてくから!!』









「それでは行ってらっしゃいませ。」



黒髪の子と白髪のこの話を聞いて、いよいよ試験が始まった。



「ねぇAちゃん?やっぱり一緒に行こうよぉ………1人なんて無理だよぉ…結婚してくれよぉ」


隣のこいつはまだ騒いどる。


善は死なないっつってんのに…


『あのさ、例えばここで一緒に行動して、合格したとする。それでそのあとの任務が別々になったらどうすんの?結局一人で鬼を倒すことになるんだから、今出来ないとダメじゃない。兎に角!私は試したいことがある。だから一人で行く。』



「うぅ……分かったよぉ…でもでも!ほんとに死ぬと思ったらAちゃんのところに行くからね!」



『はいはい………じゃあ、7日後ね』



本当は試したいことなんてない。でも善は私大好きだからこう言えば納得してくれる。おじいちゃんからも、選別時には別れて行動しろって言われてるしね。




『とりあえず…どこに行こうか……』

捌→←陸



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作者名:榮凪 | 作成日時:2020年2月23日 23時

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