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前日だけれど、2人がお見舞いに来てくれて良かった。
少しでも不安な気持ちが紛れたから。
仕事で忙しい母からは、LINEが届いていた。
“お見舞い行かなくてごめんね。明日は頑張って。応援しているからね”
LINE確認のため待合室に来ていたが、暗いからか、また気持ちがどんよりしてきた。
でもそろそろ寝ないとな。
部屋に戻ろうとした時だった。
はーなちゃん！
声が聞こえた。
この声…
『…吉野さん⁉』
目の前には吉野研修医の姿。
『それ…』
「ふふふ、またまた吉野ピエロの登場〜！！」
少し抑え気味の声で話す。
「見て、今日はな、髪の色シルバーやねん！」
嬉しそうに話しているけれど、暗いのであまりハッキリ見えない。
「今日は、これ！！」
後ろからフタのようなものを2つ出し、
「はい、こん中なーんにも入ってません！な？ほら」
両手でタネも仕掛けもないことを見せる。
『はい…何もないです』
「よし。じゃあ、これを〜、こうして！重ねます！」
「ほないくで〜？？」
「じゃあ〜ん！！！！」
重なっていたフタ同士を開くと、そこから可愛い花が出てきた。
『うわ！すごい、可愛い〜！』
羽奈も思わずテンションが上がる。
「はい！羽奈ちゃんに、花をプレゼント！！ふふふ」
だ、駄洒落かよ…
と思ったが、吉野研修医の笑顔を見ると、その可愛さにやられた。
『有難うございます』
「明日、緊張せんでええからな。リラックスやで！」
差し出してくれた花を受け取ると
「ん。じゃあ部屋戻って、しっかり寝てな」
そう言うと頭の上に手が伸びる。
吉野研修医の大きな手が、羽奈の頭の上でポンポンと跳ねた。
「おやすみ」
にっこり微笑むと、またピエロ姿のまま戻って行った。
何だろう
このふわふわとした気持ち。
頭ポンポンされたのなんて、人生で初めてだからか。
それもある。
でも、それ以外にも何か違う感情がある気がする。
もしかして
“恋”
ってやつだろうか…
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作者名：0号車さん | 作成日時：2017年4月5日 16時
