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ジョンインの機嫌はなおったみたいで、買ってきたチキンをパクパクと食べていた。
わたしが作ったちょっといびつなケーキも、おばさんたちが｢おいしい｣と言ってくれた。
ジョンインは何も言わなかったけど、最後の一口までちゃんと食べてくれた。
｢ジョンイン、わたしそろそろ帰るね｣
お腹が膨れてきたころ、時計を見ると既に９時を過ぎていた。
｢おばさん私帰るね〜！｣
｢はぁい、気を付けて帰るのよ〜｣
マフラーぐるぐると巻き付けて玄関を出ると、冷たい風がひゅうっと素足をなでた。
う〜寒い。
足踏みをして待ってると、いつものダッフルコートを羽織ったジョンインが寒そうに私の前まで自転車を押してくる。
｢うわ寒っ……ほら、はやく乗って｣
｢いいのに、今日くらい送らなくても｣
赤くなってるジョンインの手を見て、鞄の中に眠ってる存在を思い出す。
｢そうだジョンイン、これ！
一日早いけど、メリークリスマス！！｣
マフラーに顔を埋めてるジョンインにそれを差し出すと、眠そうだった目がこれでもかってくらい大きく開いた。
ジョンインのこんな顔久しぶりに見た…入学式以来？
｢…なんで？｣
｢なんでって、クリスマスだからでしょ？
クリスマスプレゼント！
まぁ正確にはクリスマスイブだけど……｣
眉間にシワを寄せながら唇を噛んでなかなかそれを受け取ろうとしないジョンイン。
焦れったくて、ラッピングされた袋を勝手にあげて｢ほら！｣とミトンを見せると、ジョンインがふわりと笑った。
｢ジョンイン自転車乗ってるくせに手袋してないでしょ？
だから丁度いいと思って！｣
ジョンインの手をとってミトンをぐいぐいと無理矢理はめる。
ちょっと大きいかなって思ったけど、ぴったりだ。よかった。
｢うん、やっぱり似合う！
私の目は正しかったね〜！｣
はめたミトンをじっと見て、｢ありがとう、A｣とジョンインが私の頭の上に手を置いた。
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作者名：きゃっち | 作成日時：2016年2月28日 16時
