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隠れた人気者 ページ6

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「お、おい! 今見えたの、サトウ先輩だよな!?」
「見えた! 見えたぜ!」

 友達(ダチ)とバスケをしていれば、急に興奮した様子で騒ぎはじめた。

「サトウ?」

 どこのサトウだと首を傾げれば、お前マジかという目で見られる。な、なんだよ。

「いや、二郎ちゃんだもんな。純情なキミなら色恋はおろか異性に特別興味を惹かないのも無理はない」
「よしよし」
「おい、ぶっ飛ばされてーのか」

 知らないもんは知らないんだからしょうがねぇだろ。

 ムッとすれば、友達(ダチ)の一人が悪かったと語り出した。

「サトウ先輩! おそらく校内の男子生徒でお前以外に知らない者はいなかった超美人な先輩だよ!」
「いつもどこか儚げで(眠いだけ)、影のある(眠いだけ)ミステリアスなお方なのだ!」

 そう言ってまた窓へとみんなは視線を移した。もうそこに「サトウ先輩」とやらはいない。

 でも、他の数人の女の先輩がこっちに手を振っていて、俺はどう反応すればいいか分からなくてぎこちなく頭を下げた。

「きゃあああ! かわいいい!」
「次のラップバトルも応援してるからねー!」

「ちぇ、いいなぁ〜。お前だけモテモテでよう」
「んなこと言われたって、わかんねぇよ。お、女の子となんて、数えるほどしか話したことねぇし……」

 俺がそう言えば、生暖かい目を向けられる。ちょっとうぜぇ。

「はいはい、知ってる知ってる。こんな立派な見た目して、二郎ちゃんはウブなんだよなー。そんなお前が大好きだぜ!」
「だああ! 抱きつくな!」

 女の子と話すのは、慣れない。
 学校の女子なんて、どうすれば会話が続くのか考えるだけで頭が痛くなってくる。

 俺は兄ちゃんと漫画とか、アニメの話ができるだけで満足だし。

 これまでだって、女の子とは──。

「ああ、いたな。そういえば」

 思い出したくもないヤツが、久しぶりに記憶によみがえる。

 なんで思い出したかって言えば、それは……こいつらが「サトウ先輩」と騒ぐからだ。

「にしても、二郎とは違って珍しい苗字だよなー、サトウ先輩って」
「珍しい? サトウって、佐藤とかじゃねぇの?」

 なんだっけ、サトウって苗字は日本で一番多いんじゃないのかよ。

 なんとなく、聞いただけだった。
 だが、思ってもみなかった返答がくる。

「いや、サトウはサトウでも──邪門宇(さとう)だよ。初見じゃ絶対読めないよな〜」

 その言葉に、俺は目を見開いて校舎を見上げた。

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設定タグ:ヒプノシスマイク , ヒプマイ , 山田家   
作品ジャンル:恋愛
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作者名: | 作成日時:2020年2月14日 20時

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