052* ページ20
ぴょこぴょこと跳ねるうさぎたちを追ううちに、アチキの視界になにか不快にものが写った。
うさぎたちを気にしつつ、ちらりと一瞥。
そこには、黒いスーツを着た男たちがいた。
「ありゃりゃ……お客様が来ちゃったよぉ」
『構うな』
ぴしゃ、と、赤い目のうさぎが言った。そのあとを、青い目のうさぎが継ぐ。
『あれはヴァリアーの者たち。調べに来たのだろう。お前が出たら、厄介だ』
『そのまま、気配を殺していろ』
今度は緑の目のうさぎ。
アチキは「はぁい」と返事をした。
「それで、どこにいくの？」
『地下だ』
紫の目のうさぎが言う。次に、黄色の目のうさぎが言った。
『手っ取り早く済まそう。私は地下が嫌いでな』
「出てきたらいいのに？」
『手が離せないのだ』
桃色の目のうさきがフンっと鼻をならした。
『お前の過去を暴くための準備をしている』
「アチキの？」
『そうだ。人の半生を見るのには、多大な魔力とやっかいな魔方陣が必要で……』
『あぁっ！ スペルを間違えた。……一度間違えればすべてやり直し。あと少しで完成だったとしても、だ！！』
「た、大変だね……」
うさぎ越しに、女の人の苛立ちを感じた。そのうちに舌打ちが混じる。
『まだ気付くことが出来たから良かった。気付かずそのまま儀式をすれば、私に危害が及ぶ』
「へぇ？」
『言っただろう、人の半生を暴くものなのだ。簡単にはいかない。まぁ、噂では人の過去を暴く少女と未来を見る少年がいるらしい……が、それはいい！』
『問題はこれが無報酬の労働であることだ！アイツは押し付けるようにして……！！ 白髪野郎……滅する……！！』
並々ならぬ憎悪が伝わってきた。
アイツって……ウィルヘルム？
「ウィルヘルムのこと？」
『む。その名を言うな。集中が途切れる』
「そういえば、伝言があるよ。“愛してます”……だって」
『……………………』
沈黙。うさぎは一斉に黙った。さっきまであんなに文句ぷりぷり言っていたのに。
『……ふ、ふん』
と、やっと声を発したと思えばひどく憎たらしい口調で、
『あの男は口を開けばすぐそれだ。動揺などしておらん。スペルを間違えたりしていないぞ』
「……ふぅん？」
アチキは少しニヤニヤした。
なんだか可愛かったのだ。
『さ、さて！ もうそろそろだ。そのまま、まっすぐ進め。私の案内はもういらんだろう』
『黒い扉の向こうで会おう』
うさぎたちは一斉に金の炎となって消えた。
続く (更新停止中)
お気に入り登録で更新通知を受け取ろう
←051*
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキーカラー
あずきいろ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 108人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「リボーン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紅うさぎ(プロフ) - ルフナさん» ありがとうごさいます(笑)更新スピードが落ちぎみですが、がんばりますね (2016年2月22日 14時) (携帯から) (
レス) id: 6f89c7bf5f (このIDを非表示/違反報告)
ルフナ - あ"〜！やばい！きゅんきゅんする！ ほかの作品も見てますが、どれも大好きです！更新頑張ってください！ (2016年2月21日 23時) (レス) id: 6b01876ca2 (このIDを非表示/違反報告)
紅うさぎ(プロフ) - 欺姫さん» 次続編なんですけど、様子見中です。。あとスマホにするかもなので、それからにしようかな……と。。 (2016年2月14日 12時) (携帯から) (レス) id: 6f89c7bf5f (このIDを非表示/違反報告)
欺姫(プロフ) - 面白かったです！続きは書かないんですか？ (2016年2月14日 0時) (レス) id: 094ce2e26b (このIDを非表示/違反報告)
紅うさぎ(プロフ) - ZURAKO★さん» 獄寺はこわいけど優しさももっているんだと思います(笑 これは紅うさぎの会見なんで、本当はどうかわかりませんが、彼の印象がプラスになったのは嬉しいです (2016年1月16日 14時) (携帯から) (レス) id: 6f89c7bf5f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
