4. 【17】 ページ4
それから三日後、迎えた任命式の朝。
逸る心は抑えきれず
刻む心臓のリズムのまま、訪ねたのは、監査室。
晴れ渡った青い空。
式が始まるまであと、40分。
手の中に在るのは、俺の試験に関する書類。
『お願いしますっっ！！そこをなんとかっっ！！』
と監査官に頼み込み、見せてもらったもの。
今回限りだと
半ば呆れたように渡されたそれを
一文字一文字、目に焼き付けるように読んでいく。
そこに書かれているのはすべて
あの日の俺のこと。
離陸操作にスイッチ操作
定点での報告に官制との交信に天候予測に風の読み方、技術から座学に至るまで
あの日俺が、どのように飛行機と向き合っていたのか
どのように空と、向き合っていたのか
そのすべてがそこに、書き記されていた。
そして。
左側に座るための「人格」が、備わっているかについてもまた。
その数およそ何十種類という多岐に渡るチェック項目
そのすべてに智くんは
丁寧に丁寧に、評価をしてくれていた。
何が良くて、どこにまだ、訓練の必要があるのかを。
改善点は、どこにあるのかを。
チェック項目に、ただ「〇」や「×」をつけるのではなく
一つ一つ丁寧に、書き加えていてくれて。
その具体的なアドバイスの数々はもう、このままフライトの教本にしてしまえそうなほど。
これは自分の試験に関する書類ではあるけれど
『これじゃあ文句のつけようがない』
というあの日の監査官の言葉は、本当にそうだと思う。
そしてそこにはもちろん
俺の、前代未聞の試験中の操縦席離脱についても、書かれていて。
どうしてそうなったのか
それを防ぐために何が出来たのか
そのために、俺がこれから身に付けていかないといけないことは何なのか
何枚にも亘る書類のほとんどはそれに費やされていたくらい、
あの日の俺のことが、そしてこれからの俺のことが智くんの言葉で、綴られていた。
「さとしくーーん！！」
『彼がそう言うのなら、それが真実なのだろう』
こんなことは本当に前代未聞なのだがと前置きしたうえで、
その上から下までを何度も何度も読む俺に、
呆れたようにため息を零した監査官が、指を差した場所。
「おはよ、翔く.....あ、んふふ」
そこには
『....翔くん』
あの日、優しい声で俺を呼んでくれた智くんがその後
俺にくれた言葉と同じ言葉が、書かれていた。
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やよい(プロフ) - 智くんの背中に回された翔くんの手、翔くんの声(私は翔くんの低音ボイスが大好きです)、翔くんほど、智くんのパートナーに相応しい人はいないんじゃないかと思っています。また、お話を楽しみにしていますね。 (2021年9月1日 0時) (
レス) id: 7c70da965a (このIDを非表示/違反報告)
やよい(プロフ) - 翔くんの手は智くんより大きくて、男らしくて、頼りがいがあって、私見ですが、温かくて、優しくて、智くんを守っている感じがします。 (2021年9月1日 0時) (レス) id: 7c70da965a (このIDを非表示/違反報告)
やよい(プロフ) - 翔くんの手と智くんの手が合わさっている画像、ネットで拾って、何枚も集めています。また、翔くんによる智くんへのエスコートの動画も集めています＝ほぼ変態の域かもしれません(^◇^;)。 (2021年9月1日 0時) (レス) id: 7c70da965a (このIDを非表示/違反報告)
やよい(プロフ) - そう言う願いから、そう言う夢から、色々なものが研究され、発達して来たんですね。 翔くんの言葉、素敵です。 (2021年9月1日 0時) (レス) id: 7c70da965a (このIDを非表示/違反報告)
やよい(プロフ) - 鼓膜が破壊されてしまっていても、いつか、再生医療が発達して、智くんの耳が微かでも音を拾えるようになれば良いのに。翔くんの声だけでも。そう祈ってます。 (2021年9月1日 0時) (レス) id: 7c70da965a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mio
| 作成日時：2020年10月17日 0時
