12. ＊＊＊＊＊ ページ12
「だから俺、誇りに思うよ。
自分が今ね、そういう風に、仕事が出来てることに。この仕事を、選んだ自分に。それから、」
ちょっとカッコつけたかな、とも、思うけど。
でもそれは、ホントウだから。
だからこそ、伝えたい。
たくさんのありがとうと、
ここにある、揺るぎない想いを。
「いちくんの、弟で、あることに」
ここにずっとある、
あなたへの、そしてあなたからの、
揺るがない、愛を。
瞬きをひとつ。
ぶわっと溢れた涙と、ぐすっと盛大に鳴った鼻。
必死に涙を我慢するその顔を、
何度見ただろう。
強くなろうと、強く在ろうと必死に藻掻くその姿を、
何度、見ただろう。
そんな兄を愛おしいと。
何度思った、ことだろう。
「はい、ちーんして？」
「なんだよもぅおれのがおにいちゃんなのにぃ」
にっこり笑って差し出したティッシュに、
ふにゃふにゃと言い返して、二郎の手からそれを奪い取る一郎。
耳を真っ赤にして、
そっぽ向いてチーンと鼻をかんでいるその幼子のような姿に、
二郎は思わず、笑いが零れる。
「....なんだよぅ」
「いえ、いつも可愛らしいですね兄上」
「なっっ//じっ...じろのばかっっ」
明日もきっと、明後日も。
難しい案件が、二郎を待ってる。
それでも二郎は思う。
大丈夫だと。
今日も隣りで、兄が笑っててくれる。
あの日の言葉は今も、胸の中で息づいてる。
その言葉があれば。
その、笑顔があれば。
その笑顔を護りたいという、想いがあれば。
どこまでもどこまでも、強くなれると。
「もうっ、かえるよっ」
「はいはい」
「かえるんだからねっっ！！」
「はいはい」
「じろのばかっっ」
「ふふっっ。はいはい」
繋いだ手は、離さない。
ぜったいぜったい、離さない。
夢見たその道はひとりでは、歩めないと、知ってるから。
夕日が差し掛かり始めた、帰り道。
長く伸びる、二つ並んだ影。
「いちくん」
「.....なに」
「久しぶりに、一緒に入る？お風呂」
「やっだ」
「あらーいけずー」
愛する我が家まで、あと10分。
....やっば、一時間なんてとっくに過ぎてる...
弟たちのほっそい目を思い浮かべて身震いしながらそれでも、
優しいぬくもりを宿した、温かい左手を連れて歩くその道は、変わることなく。
ただ幸せ色に、輝いていた。
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マナ - 作者さんに質問です。あなたは茨城県北茨城市磯原町の出身、または住んでいますか？ (2021年11月27日 20時) (
レス) @page1 id: 8df98fa480 (このIDを非表示/違反報告)
檸檬(プロフ) - こんにちは。その後が気になっています。また、お時間あるときに続きをお願いします。 (2021年7月17日 17時) (レス) id: d5f4de7f1a (このIDを非表示/違反報告)
あっちゃん(プロフ) - ううっっ！ いちくーん。以上心の叫びでした。きっとこの先に幸せな未来が来るんだよね？ね？ね？心静かに待ちます。 (2021年1月14日 15時) (レス) id: 178db8b66c (このIDを非表示/違反報告)
みーこ(プロフ) - そか、マイガールだから、舞賀家か〜....なるほどぉ. (2020年8月13日 18時) (レス) id: 84fdbed2f6 (このIDを非表示/違反報告)
mio(プロフ) - あっちゃんさん» 続)「うちのいっちゃん」なあの写真を想像しながら書いてるよ。なかなか筆が進まないことも多いけど、読んでくれたら嬉しいです。本当にありがとう！！ (2020年8月7日 14時) (レス) id: 075ae85cbe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mio
| 作成日時：2020年3月12日 0時
