空、今日も。〜*another short story*〜 ��

12. To my Dearest Love. ページ12

｢......え？？｣







特別な日のトクベツな贈り物ももちろん嬉しいけど、



なんでもない日の贈り物も、ね。

なんだろう、特別な日のものよりもなんていうか、トクベツ、な気がして。







『明日、ネクタイの日、なんですって』

『え、そんな日があるの？』

『日本で初めてネクタイが作られた日らしいですよ』

『....ふぅーん』







そんな話を、
一緒にフライトした後輩から聞いた、9月30日。







そう。

まさにコレはなんでもない日の贈り物にぴったりだと、思って。







閉店間際の、デパートで。


目の前にある「コレ」と“そっくり”のものを、購入したのだけど。








｢えっと、えー......っとえっと...


......えぇ？？はぁ？？？｣









秋の衣替えシーズンに合わせて、スーツを新調した、智くん。




細身に仕立てられたそのダークネイビーのスーツは、
彼の持つ凛とした雰囲気を存分に醸し出してて、本当によく似合ってる。
(しかもまさかのスリーピース、聞いた瞬間の俺の隠しきれない“よっしゃーー！！感”に向けられたニノのほっっそい目は見なかったことにしてマス)








そう。
だからね？


だからよ。








『ダークネイビーだからブラウンもいいし...』

『いやでもワントーンコーディネートも捨て難いなぁ.....』

『いっそピンク！！......いやダメだ、何かがいろいろ醸し出されてしまう』←







......うん。やっぱりそう。







昨日、閉店間際の、デパートで。


昔からお世話になってる馴染みのお店、だからニコニコしてくれてるであろう店員さんをそっちのけにして、目を引いたネクタイの数々をずらぁっっっ！！！と並べて選びに選んだ、のだけど。



そして流れはじめるほたるのひかりに追いたてられるようにして、店を後にしたのだけど。









そしてそしてソレを今日智くんのロッカーに、



仕事終わりの時間に合わせてこっそりこっそり、忍ばせておいた、のだけど。









｢............｣









10月1日。
午後4時30分。

午後いちばんから続いた講義が終わった、夕焼け眩しい、ロッカールームにて。







これからのフライトに向けて、

着替えをしようとマイロッカーを開けたまま、固まること、数秒。









......え、疲れてるのかな、俺。


え、夢の中なのかな、俺。






まさか.....まさかタイムスリップなう！？！？


......えぇっっっ！？！？

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