検索窓
今日:4 hit、昨日:1 hit、合計:7,312 hit

2 ページ2

「ん…、たま、」

俺が腕の中からすり抜けたことを感じ取った宮田は、まだ夢の中にいながら俺を呼ぶ。

「みやた」

くるりと反転して宮田の方を向き、ブランケットからひょこっと顔を出す。

「としくん」

呼ばれた宮田はうっすらと目を開けて、ふにゃりと笑う。

「おはよ、たま」

カーテンから零れた光を髪の毛や睫毛の先に纏わせた宮田は、ちょっとびっくりするくらい綺麗だった。

「ふふふ、たま、すごく綺麗…天使みたい」

そう言って笑う宮田は俺の前髪を優しく流す。
お前もすごく綺麗だ、とは言えないけれど、同じことを考えていたのだと思うと、それだけで心がふわふわと温かい。
穏やかな休日の朝。幸せって、こういうことか。すとんと胸に落ちてきた。

「たま」
「なに?」
「幸せだね」

少し寝癖の付いた髪、笑って細められた目、穏やかな声、髪を梳く優しい手。全部、幸せの形。

「たま、なんで泣いてるの」

泣かせちゃったね、ごめんね、そう言って優しく笑う宮田は、俺の涙が悲しい涙ではないことを分かってくれていて、溢れる涙をそっと掬ってくれる。

3→←1



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 5.8/10 (67 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
16人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:みいこ | 作成日時:2020年10月22日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。