君との出会いを奇跡にしたいから 2

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「ちょっと、醤油切れちゃった」

『は？やめて、それ以上聞きたくないから』


お母さんがいきなり部屋に入ってきてこんなこと言うから両耳を掌で塞いでやった。


「買ってきて」

『もうなんで聞こえちゃうかなぁぁ』

「はい、これ持って行ってらっしゃい」


渡されたのはトートバッグ。中には財布と折り畳み傘が入っている。


「エコよエコ。あと雨降りそうだから一応ね」

『今更そんな優しさ要らないんだけど』

「ご飯作れないからはやく行って来てね」


追い出された玄関の扉に向かって舌を出した。本当なんでうちの親ってこんなに人使いが荒いのか。


暗い夜道。通り慣れた道でも少し怖い。

前は気になった公園も早歩きで通り過ぎた。

やっとの思いでついたスーパーで足早に醤油をカゴに入れてお会計も済ませた。

またあの夜道を歩くのか‥って肩を落として

自動ドアを潜った瞬間鼻をかすめた雨の臭い。


「雨じゃん」


そう、激しめの雨が降っていた。

バッグに手を入れて折り畳み傘に届いたところでA、って声に振り向いた。


『は、優太？なんでいるの』

「これ。ここで買うと安いんだ」

『あぁ、カフェラテか』

「そうそう。って！うわあ、ガチか。雨やばいな」

『傘は？』

「ない！Aは？」


この質問にどうしてか手にしていた折り畳み傘をバッグの奥に戻した。

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