�� ページ9
やっぱり言わなきゃ駄目かな……言わなきゃ駄目だろうな……。このお方の追及を躱せる気が全然まったくしないもんな……それ以前に私の誤魔化し自体通用してないもんな……。でも理由が理由だしな……。
続く言葉をはっきりと口にするのを躊躇し、そんなことをうだうだと考えるレン。だが、心なしか突き刺さる視線の強さがチクチクからブスブスに変わりつつあることに言いようのない危機感を抱き、意を決して告げることにした。
「えっと……その………こ、紅茶の……妖精を……」
「………は？」
たっぷり３秒の間が空いた。
「………紅茶の、妖精？」
……何だそれは。
レン本人ですらアホっぽい上に痛い発言だと自覚していることを自分で言っててやっぱり恥ずかしくなってしまったために語尾が尻すぼみになってしまったが、辛うじてインテグラの耳に届いた。
届いたのだが、レンの口から飛び出した何やら怪しさ満載の単語に、インテグラの表情がたちまち胡乱なものになる。
そして、おもむろにインテグラは自分の前に置かれたティーカップへと視線を落とした。
……変な
既に飲んでしまったが大丈夫だろうか……。
カップ内の液体を睨むように凝視するインテグラの胸中に、そんな疑念が芽生え始める。何だかとっても怪しげな儀式に励んでいるレンの姿が頭に浮かんだ。
若いながらも真面目さには定評があるレンのことだからそれはないだろうと思いつつも、何事にも真っ直ぐなレンだからこそやり兼ねないという面倒なことこの上ない危惧もあり、それがインテグラの不吉な予感に更に拍車をかけた。
「マ、マスター、そんな凝視しなくても、決して変なものを入れたりはしてませんよ……！」
正気を疑うような発言であることは自覚しているし、訝しがられるのも予想していたが、そこまで怪しまれると流石にショックだ。どうしよう。このままでは築き上げてきた信頼関係に傷が付いてしまい兼ねない。それだけは何としてでも回避したい。
レンは焦った。そりゃもう焦った。たかが紅茶１杯で崩壊する関係もどうかと思いはするが、レンにとっては死活問題になり得るほどの由々しき事態だった。
ここはもう包み隠さず正直に打ち明けてしまおう。その後の彼女の反応を想像するとかなりの抵抗を覚えるが、疑念を抱かれるより遥かにマシだ。
覚悟を決めたレンは、おずおずといった様子で語り始めた。
「じ、実は―――」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 13人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「女主人公」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
壱(プロフ) - 死音心音2.0さん» お褒めに預かり誠に光栄。まさに感謝の極み（キリッ）いやホント冗談抜きにありがとうございます！アイス共感のみならず、こちらの気遣いまで……！マジもんの天使かよ……！？ＨＥＬＬＳＩＮＧは今なお色褪せない名作だと思っていますので、今後も宜しくお願いします！ (2022年2月11日 20時) (
レス) id: 8ec81766f6 (このIDを非表示/違反報告)
死音心音2.0(プロフ) - HELLSING夢、しかも百合だと？オマケに文章まで最高ときたか……パーフェクトだ 壱。そしてお風呂で食べるアイス美味しいよねｯ！続き楽しみにしてます、寒さにはお気をつけて！ (2022年2月9日 2時) (レス) id: 2a5e77e557 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：壱 | 作成日時：2021年3月22日 22時
