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他愛のない会話を交えた(のち)、レンは一礼して書斎の扉を(くぐ)った。
閉じた扉にそっと背を預けるように軽く凭れかかり、ふう、と小さく息を吐く。床に目を落としたレンの頭に浮かんでくるのは、インテグラの励ましとも取れるあの言葉だった。

―――自信を持てとは言わん。だが、そんな得体の知れんものに頼らずとも、お前の仕事に対する誠実さはしっかりと伝わっている。

(“だから余計な心配はするな”、か……)

彼女の少し低い、耳に馴染む落ち着いた声で告げられたその言葉。何度思い出してもくすぐったいような気恥ずかしいような気持ちになる。
その際に目にした彼女の優しげな表情までもが思い返され、じわじわと顔に熱が集まるのを自覚した。

どうしよう……顔が熱い。

堪らず、レンは上気した頬を両手で包むように押さえた。触れた手のひらに、やや上昇気味の体温が伝わってくる。

どうしようもないくらい顔が熱い。
だけど、どうしようもないくらい嬉しすぎる。

胸が熱くなるほどに湧き上がる高揚感。抑え切れない感情が、レンの表情に笑みとなって零れ出た。


今後、恐らく数日間は今回の件のことを何かとちくちく刺すように言われるのだろう。しかしながら、今のレンはそれすら「まあ別にいっかー」と思えるほどに気持ちが浮き立っていた。
騒動の発端となったアーカードのことを思い出すと腹は立つし、自分自身の常軌を逸した赤っ恥行動には顔を覆いたくなるけれど、インテグラ本人から思いがけない発言をたくさん聞けたのだし、そのことにより得られたものは遥かに大きい。
何より彼女から褒められたことは、レンに多大な喜びと確固たる安心感を抱かせた。

それらを踏まえてよく吟味した上でトータルで考えてみると結果的には悪くない、というよりも寧ろ結果オーライとすら思えてしまう。……まあ、こんな出来事なんぞ2度とご免だが。

散々な目に遭ったエイプリルフールではあるけれど、ある意味では忘れられないくらいとびきりの思い出となったのかも知れない。

頬から伝わる熱を手のひらに感じながら、込み上げる喜びを噛み締める。
じんわりと滲むように胸を満たしてゆく幸福感に、レンはしばらく頬が勝手に緩むのを止められないでいた。

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設定タグ:HELLSING,ヘルシング , 女主人公 , 百合   
作品ジャンル:アニメ
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(プロフ) - 死音心音2.0さん» お褒めに預かり誠に光栄。まさに感謝の極み(キリッ)いやホント冗談抜きにありがとうございます!アイス共感のみならず、こちらの気遣いまで……!マジもんの天使かよ……!?HELLSINGは今なお色褪せない名作だと思っていますので、今後も宜しくお願いします! (2022年2月11日 20時) (レス) id: 8ec81766f6 (このIDを非表示/違反報告)
死音心音2.0(プロフ) - HELLSING夢、しかも百合だと?オマケに文章まで最高ときたか……パーフェクトだ 壱。そしてお風呂で食べるアイス美味しいよねッ!続き楽しみにしてます、寒さにはお気をつけて! (2022年2月9日 2時) (レス) id: 2a5e77e557 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2021年3月22日 22時

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