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「そ、それじゃあ、私がやったことって……」
「ただの奇行だな」
「………!」

やっぱり……!

情け容赦なく、いっそ清々しいほどにはっきりと告げられ、飛んできた発言がぐさりと胸に突き刺さる。分かってたけど痛かった。予想してたけど傷付いた。
自分でも薄らと同じことを思っていただけに、(こうむ)る心理的ダメージは尋常じゃない。それも発言者がインテグラだから余計にだ。これが物理的ダメージだったら恐らくきっと致命傷レベルだと思う。確実に急所に当たってた。

「単純なお前のことだ。それっぽく言って信憑性を持たせれば、
 思惑通りになると思ったんだろうが……見事にしてやられたようだな」
「あう……」

葉巻を咥えたまま器用に話すインテグラの追い打ちのような発言に、レンはがくりと項垂れる。
何だかさり気なく酷いことを言われた気がしないでもないんだが、とりあえず気の所為にしておこう。
ただでさえアーカードに嵌められて腹立たしいわ、インテグラに散々呆れられて恥ずかしいわ、何よりまんまとしてやられた自分が情けないわのトリプルパンチで精神ダメージ半端なくて瀕死寸前なのである。これ以上ダメージ食らったら再起不能になりそうだ。

そう言えば、朝食時にやけに真剣な面持ちのウォルターから「今日1日、容易に物事を信じてはいけませんよ。普段以上に気を引き締めてお過ごしになって下さい」みたいなことをやたら念押しするような口調で言われた気がする。
すっかり忘れていたが、どうやらあれはウォルターなりのレンへの注意喚起だったらしい。茫然自失状態の思考でありながらも、今更ながらに納得に至った。

何のことを言っているのだろうと疑問に思いはしたものの、料理が美味しかったこともあってそっちに意識が傾くあまり、その時は然して気に留めていなかったのである。


一体何のことだか碌すっぽ把握できていないにも拘らず、「はい、分かりました」などと安易に答えた自分の愚かさを心底恨む。
あの時の彼の言葉を少しでも頭に留めて置きさえしていれば、この展開を恐らく高確率で回避できた(であろうと思われる)筈なのに。目の前の食事に気を取られたばかりに……!彼の料理が美味し過ぎたばかりに……!

込み上げる悔しさと腹立たしさに歯噛みするレン。しかしそれは己の食欲に勝てなかったレンの自業自得であって、当然のことながらウォルターにも料理にも何一つとして罪はないのだが。

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設定タグ:HELLSING,ヘルシング , 女主人公 , 百合   
作品ジャンル:アニメ
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(プロフ) - 死音心音2.0さん» お褒めに預かり誠に光栄。まさに感謝の極み(キリッ)いやホント冗談抜きにありがとうございます!アイス共感のみならず、こちらの気遣いまで……!マジもんの天使かよ……!?HELLSINGは今なお色褪せない名作だと思っていますので、今後も宜しくお願いします! (2022年2月11日 20時) (レス) id: 8ec81766f6 (このIDを非表示/違反報告)
死音心音2.0(プロフ) - HELLSING夢、しかも百合だと?オマケに文章まで最高ときたか……パーフェクトだ 壱。そしてお風呂で食べるアイス美味しいよねッ!続き楽しみにしてます、寒さにはお気をつけて! (2022年2月9日 2時) (レス) id: 2a5e77e557 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2021年3月22日 22時

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