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茫然自失状態でありつつもレンの小作りな頭の中では、腹立つ笑みを浮かべたアーカードの顔やら、奴の言い放った(はらわた)が煮えくり返るほどの発言やら、紅茶の精云々(うんぬん)の話やら、それを呼び出そうとしていた自分の姿やら何やら、とにかく今朝のあれこれいろんな記憶がぐるんぐるんと回り回っていた。

そんなレンを余所に、インテグラは咥えた葉巻を親指と人差し指の2本で挟んで口から離し、ふう、と軽く息を吐くように煙を吐き出す。そうして、硬直中のレンに怜悧な青い瞳を向けて一言。

「そう言うことだ」

冷めた眼差しでもってレンを見やり、とっても淡白な態度でもってそう告げた。


―――そう、今日は4月1日。
April Fool(エイプリルフール)”。
嘘を吐いても許される風習。
直訳すると“騙された人”。
和訳すると“4月馬鹿”。

単純かつ端的に要約すると―――4月の嘘に騙された馬鹿。

ほとんど放心したような状態で固まっているレンの脳内では、そんな言葉が何度もリフレインしていた。
デスクを挟んだ向かいから突き刺さる視線が何だか痛い。「まったくこいつは……」と呆れる彼女の心の声が聞こえてくるような気がしなくもない。……多分きっと気の所為じゃないだろうけど。

未だにショックを引きずるあまり脳の活動は鈍いままであるものの、長い硬直からようやく立ち直りかけてきたところで、レンは確認するように訊いてみた。

「て、てことは……やっぱり、嘘?嘘……だった?私、騙されてた……んですか?」
「そのようだな」

至極あっさりと、何だか投げやりな返しが寄越される。それもやっぱり冷め切った口調で。
そのことにちょっぴり傷付くレン。

まあ今日がエイプリルフールだということと、何よりインテグラの発言により、アーカードの話は嘘だと確定したようなもの。
事実、エイプリルフールと気付かされたレン自身もその瞬間、「ああやっぱり常に胡散臭さ漂うアーカードのいかにも胡散臭い話は実際やっぱり胡散臭いものだったんだ」と衝撃で麻痺した頭でぼんやりとそう思ったくらいだ。
しかしながらそう理解しつつも、それを信じたくないというか認めたくないというか、ある意味悪あがきのような心理がレンの中で働いていた。何故かなんて、聞いたところで実にアホらしい理由ではあるのだが。
そんな相反する思いが脳内でせめぎ合う中、レンは先ほどから(わだかま)っている疑問を投げかけた。

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設定タグ:HELLSING,ヘルシング , 女主人公 , 百合   
作品ジャンル:アニメ
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(プロフ) - 死音心音2.0さん» お褒めに預かり誠に光栄。まさに感謝の極み(キリッ)いやホント冗談抜きにありがとうございます!アイス共感のみならず、こちらの気遣いまで……!マジもんの天使かよ……!?HELLSINGは今なお色褪せない名作だと思っていますので、今後も宜しくお願いします! (2022年2月11日 20時) (レス) id: 8ec81766f6 (このIDを非表示/違反報告)
死音心音2.0(プロフ) - HELLSING夢、しかも百合だと?オマケに文章まで最高ときたか……パーフェクトだ 壱。そしてお風呂で食べるアイス美味しいよねッ!続き楽しみにしてます、寒さにはお気をつけて! (2022年2月9日 2時) (レス) id: 2a5e77e557 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2021年3月22日 22時

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