�� ページ12
長身で、すらりとした体躯を包む、真っ赤なロングコート。同色の、つばの広い帽子。長めの黒髪の下の、サングラス越しに見える切れ長の瞳はこれまた燃えるように真っ赤で、形のいい眉にすっと通った鼻筋、そして薄い唇と、ぎょっとするほどの美青年だ。
一見すると年齢は20代半ばくらいに思えるが、かなり長いこと生きているらしい上に外見を自在に変えることができるらしく、今のその姿が本来の姿かどうかすら分からない。とんでもない外見詐欺師だ。
「危なかったな、小娘」
「ほんとにね……！誰かさんの所為でね……！」
あんただよ、あんた……！
そう言いたい気持ちを懸命に抑え、レンは手に持っていた容器をカウンターへと置いた。いささか力が入ってしまったが為に、ガンと大きな音が鳴る。
「だがこれで普段は鈍臭い亀も、いざとなったら人並みにやれるという証明ができたな」
「鈍臭……！？そ、そこまで致命的な運動神経してないよ……！」
余りにも失礼な物言いにカチンと来たが、それを否定できるほどの運動神経に恵まれている訳でもない為に、真っ向から「そんなことないよ！」とは流石に言えず。けれどアーカードに言われて大人しく認めてしまうのも何だか癪なので、軽くあしらわれるのは覚悟の上で、せめてもの反抗としてささやかな反論を試みた。
ああ、完全に否定できないところが非常に歯痒く悔しい。そして案の定、鼻で笑われる結果となった。
(うぬぬぬ……！)
返せる言葉を失い、腹の立つ笑みを湛えたままのアーカードに恨みがましい目を向ける。
この男、敵を嬲り殺しにすることと同様に、レンをいたぶる―――主に精神的な意味で―――ことを生き甲斐にしている節があり、度々こうして隙を突いて現れ出ては人の寿命を縮めてくれる、極めて傍迷惑なサディストなのである。
闇を好む吸血鬼である彼にとって、朝と昼は営業時間外ならぬ活動時間外なので、遭遇する心配はないだろうと安心して思いっきり油断していた。そんな予想外の出来事に内心焦るレン。
そうこうしている内に、火にかけているケトルから音がし始めた。
蓋を開けて中を覗き込むと、ぽこぽこと小さな気泡が浮き上がり、水面が小さく揺らめいている。―――沸騰し始めの温度に達した合図だ。
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壱(プロフ) - 死音心音2.0さん» お褒めに預かり誠に光栄。まさに感謝の極み（キリッ）いやホント冗談抜きにありがとうございます！アイス共感のみならず、こちらの気遣いまで……！マジもんの天使かよ……！？ＨＥＬＬＳＩＮＧは今なお色褪せない名作だと思っていますので、今後も宜しくお願いします！ (2022年2月11日 20時) (
レス) id: 8ec81766f6 (このIDを非表示/違反報告)
死音心音2.0(プロフ) - HELLSING夢、しかも百合だと？オマケに文章まで最高ときたか……パーフェクトだ 壱。そしてお風呂で食べるアイス美味しいよねｯ！続き楽しみにしてます、寒さにはお気をつけて！ (2022年2月9日 2時) (レス) id: 2a5e77e557 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：壱 | 作成日時：2021年3月22日 22時
