Kleinod (ページ11)

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田中「ただいま～」
森本「おかえりダーリン♡」
田中「なぁ北斗腹減った何か作って」
森本「ダ～リ～ン！」
帰還早々絡んでくる森本を手であしらって、ソファで大人しく読書をしていた松村に声をかける。
松村「それよりも先に洗ってきてよ。俺血の匂いあんまり好きじゃない」
田中「へぇへぇ、わかりましたよー」

風呂場に向かう間もトテトテ騒ぎながら着いてくる森本と共にボケたりツッコんだりしながら、遂には風呂場にまで一緒に入ってきた森本に半分感謝しながらも驚く。
田中「慎太郎、風呂入ってないの？」
森本「入ってなーい、樹待ってた」
田中「…気、遣わなくていいのに」
森本「やだなぁ！俺が樹と入りたかっただけだよダーリン♡」

そうやっておどけたように笑っているが、きっとそれもこちらが気にしないように言っているのだろう。
はたまた、お互いの相性が良いからか。
静かな場所が耐えられない田中と、喋って存在証明をし続ける森本。
だから田中からしてもありがたい事であるし、それ以上の追及はしなかった。

高地「あ、お疲れ」
まだ濡れた髪をタオルで拭きながらいい匂いのするキッチンの方へ向かうと、パッパッと作ったのであろう夜食がテーブルの上に置いてあった。
夜食を作っている間に来たのであろう、高地は先程まで松村が座っていた席に座っている。
松村「…そこ俺が座ってたんだけど」
高地「あ、ごめん」
そのまま高地が横にスライドするとその場所に座り再び松村は本を読み始めた。

田中「…いや隣に座れば良かったんじゃね？」
高地「まあいいじゃん」
松村「そういえば結局あのホテルの、何処の国だったの？」
高地「多分μじゃないかって」
田中「あぁαの友好国？」
高地「うん、だから明日あべくんと話し合いしてくる」
田中「それ仕事？プライベート？」
高地「お仕事。護衛はジェシー」
田中「へぇ、じゃあ明日はバチバチモードじゃん」
松村「向こうの護衛誰だろうね」
高地「うーん、岩本くんとか？」
田中「先生護衛って最早恐怖しかなくね？」

そんなくだらない話をしながら、「あれ」の声を掻き消していく。
「あれ」が言っている言葉も、わからなくはないけれど。
やはり、自分にはこのグループ生活の方が性に合っているし、何よりそれを手放す気は、田中には毛頭もないのだ。