おまけ 〜2〜 ページ8
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私が若武を睨みつけると若武は一瞬たじろいだ後、勢いよく叫んだ。
「おい、アーヤ、俺のは!?」
その言葉に素早く翼が反応する。
「俺のじゃなくて俺ら、でしょ。...で、アーヤ、俺らの分はないの?」
うん...。
ごめんね。あんまり時間なかったから一人分しか作ってないんだ。
私の言葉を聞き、若武がまた騒ぎ始める。
「どうして!?どうしてなんだ!?俺だって食いたいぞ!!おい、小塚、それをこっちに寄越せ!」
さあ、さあっ!と若武が手を出して小塚くんに要求する。
すると、慌てて小塚くんは私が作ったお菓子を抱きしめて首を横に振ったんだ。
「嫌だよ。これは、僕がアーヤに貰ったんだから。」
「お、珍しい。小塚が若武に逆らった。」
隣で意外そうに小塚くんを見ていた忍が呟く。
「何だとっ!リーダーの言うことが聞けないのか!?」
「若武、今はリーダーだからとか関係ないよ。それに今日は小塚の誕生日だ。諦めろ。」
黒木くんが若武の肩を叩き、宥める。
でも、その手を振り払い若武は言った。
「けど、俺だって8月に誕生日だったんだぜ!?その時、何も貰ってない!よって、俺にも貰う権利はあるっ!さあ、小塚、それを寄越せっ!」
それを見ていた私は溜息を零し、若武に言った。
「...分かったわよ。今度また何か作ってきてあげるから、今日はそれ小塚くんにあげて。でなかったら、作ってきてあげないから。」
そう言うと今までギャーギャー喚いていたのが嘘のようにピタッと口を閉じ、大人しくなった。
そして、ニヤッと笑う。
「お、アーヤ、今作ってくるって言ったな?その言葉、絶対忘れんじゃねぇぞ?」
うっ。
やられた...。
にまっと笑う若武の顔を見て悔しさがこみ上げてくる。
「あーあ、アーヤ、若武劇場にまんまとハマっちゃったね。」
翼が苦笑してそう言う。
「アーヤ。」
そう呼ばれ、振り返ると黒木くんが艶やかに瞳を光らせ微笑んだ。
「それ、俺にも作ってもらえる?俺もアーヤの作るお菓子、食べたいな。」
うん!勿論!
「俺も欲しい!」
「俺も。」
「俺も!」
「僕も欲しいなぁ。」
小塚くんが控えめにそう言うとみんなが小塚くんの方を向いてニヤッと笑った。
「残念。次はお前にはない!」
「ん。今日貰ったんだから我慢しろよ。」
「俺らはその分今日貰ってないんだからな。」
みんなにそう言われ小塚くんがシュンとした。
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セダム(プロフ) - 利衣子さん» アーヤちゃんたちが通っている秀明という塾の伝統的なジャンケンらしいですよ!詳しくは"学校の都市伝説は知っている"の 20 秀明ジャンケン の216ページ辺りに載っているので是非読んでみてください* (2019年12月5日 1時) (レス) id: 188dd23746 (このIDを非表示/違反報告)
利衣子 - あの秀明じゃんけんてなんですか? (2019年12月4日 20時) (レス) id: 77f3349879 (このIDを非表示/違反報告)
愛 - セダムさん» うん、よろしく! (2018年10月29日 18時) (レス) id: 8828372d2c (このIDを非表示/違反報告)
セダム - 愛さん» いえいえ、こちらこそ誘ってくれてありがとう!よろしくね! (2018年10月29日 18時) (レス) id: 0373634970 (このIDを非表示/違反報告)
愛 - セダムさん» セダム、合作の話美波から聞いたよ!一緒にしてくれてありがと!おかしく感じるかもしれないけど、私と美波で企画したから、ありがと!かな? (2018年10月29日 17時) (レス) id: 8828372d2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セダム | 作成日時:2018年10月22日 19時