10. ストロベリーティー 6 ページ16
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『今日も楽しかったなぁ』
ゴロンとベッドに横になる。
お風呂上りでまだ少し濡れている髪のせいで、じんわりと少し枕が湿った。後頭部が冷たい。
『あー、髪乾かさないと』
上体を起こすと、月光差し込む薄明るい自室にベッドが軋む音が微かに響いた。
バンビの隣の部屋。この家に来てから早いものか遅いものか数ヶ月が経ち、初めこそ ザ・シンプルだったこの部屋も少しずつ私の物で色づいてきた気がする。
ただとても広い。そもそも元の世界の私の部屋よりかなり大きな部屋を貸してもらっているけれど、実際の面積差よりもずっと広く感じる。
『豪邸すぎるでしょ、ホント……』
本当は、分かっている。広く感じるその理由。
どんなに楽しい毎日を送っていても、大好きな人々に囲まれても、一人になると拭いきれない不安感と孤独感に苛まれてしまうのだ。
こうしている間にも、家族や友達は私を探しているのではないだろうか。
私は、ここにいるべき人間ではないのではないか。
私が一人で考えたところでどうこうなる訳でもない。それに、私が落ち込んでいると、きっと今日のバンビみたいに、皆に心配をかけてしまう。
だから、この気持ちは出来るだけ心にしまい込まなければならないんだ。
『ぶわお！！』
ボーッとしながらドライヤーを手に取り 電源を入れると、熱風が顔面に吹き付けた。
驚いて変な声が出たけれど、一人で笑うのも気持ち悪いし、今は周りに笑い飛ばしてくれる人も居ない。
何とも気はずかしい気持ちになりつつ、その風を髪へと当て乾かし始めた。ドライヤーの無駄に大きい音を聞きながら、またボーッと前方を眺める。
何にもない、棚の上。
そうだ、写真を飾ろう。
そしたらきっとこの部屋に一人で居ても、寂しいなんて思わなくなるだろう。
まずは、カメラを用意しないと。あと、写真立てもね。
髪を乾かし終えてドライヤーの電源を切ると、向こうの部屋からヨシノさんの怒り声が微かに聞こえてきた。叱られているのはバンビかな。それともシカクさんかな。
思わずくすりと笑いが零れた後で、ハッとする。一人で笑っちゃったよ、気持ち悪いな私。
無かったことにするかのようにボフッとベッドにダイブ。うつ伏せから仰向けになれば、目の前は枕から月光へ。
おやすみなさい、この世界。
今夜も、夢の中で夢を見る。
→おまけ
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リアアカ厨 - 最&高！ (2019年4月3日 18時) (
レス) id: 8a79e93161 (このIDを非表示/違反報告)
いしだ(プロフ) - ミファルさん» わー！ ありがとうございます！ ギャグがちゃんとギャグになっているか不安だったのでとても嬉しいです(*´∨｀* ) (2016年7月7日 23時) (レス) id: f949291a40 (このIDを非表示/違反報告)
ミファル - 読んでいて楽しいです！思わず笑ってしまいました（笑）更新頑張ってください！蔭ながら応援してます！ (2016年7月4日 22時) (レス) id: 88acae9178 (このIDを非表示/違反報告)
いしだ(プロフ) - ミラクさん» 嬉しいです(*´∨｀* ) お転婆でよく暴走しますがこれからも宜しくお願いします(？)！ (2016年7月3日 14時) (レス) id: f949291a40 (このIDを非表示/違反報告)
いしだ(プロフ) - 黒兎さん» ありがとうございますぅう！ 亀更新ですがこれからも頑張って参ります！ (2016年7月3日 14時) (レス) id: f949291a40 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いしだ | 作成日時：2015年11月30日 20時
