近くて、遠くて。 (ページ8)

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『髪、コップの中入るよ』

｢あ、ごめん｣

ドリンクバーから帰ってきた慎太郎に
注意されて元の位置に戻る

｢で、樹くん知ってるの？｣

『知ってるも何もネクタイの色、青じゃん』

｢あ、ほんとだ...｣

そんな単純なことだったのかとは思ったけど
あの時はネクタイなんて見えなかったからしょうがない

『てかなに？あの先輩と知り合いなの？
話についていけないんだけど』

『わかんないけどAがあの金髪の先輩に
興味あるらしくて』

３人の会話がほぼ聞こえないくらい
金髪先輩をただじーっと見つめていた

....幽霊なんて思ってごめんなさい

そう心で小さく謝って先輩を眺めるけど
どんどんうるさくなっていく心臓の音

騒がしくなっていく心臓の理由なんて、
考える間もなく理解できる

｢....だめだ、｣

心臓に手をあててそんなことを口にする私を
慎太郎は察したような表情で見ていた

｢....一目惚れだ｣

『は！？急に！？』

『え、え、あの金髪の人に？？？？』

突然の一目惚れ宣言に困惑している
樹くんと心とは対照的に

『まーた先輩かよ(笑)』

若干呆れ気味の慎太郎

入学してから一日が経った今日、

三階の窓から見えた金髪先輩に恋をしてしまいました。

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