近くて、遠くて。 (ページ31)

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『樹どこにいるか教えろって言ったじゃん！！』

もう戻ってこないんだろうなって思ってた頃、
遠くから馬鹿でかい慎太郎の声が聞こえてきた

『わりい！スマホ見んの忘れてた！(笑)』

ふざけんなよって笑いながら
近づいてくる慎太郎はなぜか汗びっしょりで

｢なんでそんな汗かいてんの？｣

『Aたち探してたからに決まってんじゃん』

信じられないといった様子の慎太郎に
なぜか安心して、笑いがこみ上げてきた

『なに笑ってんの(笑)てか半袖風邪引く』

自然に私の隣に座って着ていた上着を掛けてきた慎太郎

....過保護だなあなんて思いつつ

｢やだ汗臭い｣

『んなこと言ったって何も言わず遠くに行くお前らが悪いからな』

上着の袖に腕を通されて、チャックまで閉められて

汗と慎太郎の匂いが混ざってたけど全然臭くなくて、
むしろ安心感に包まれて、

でも素直になれない私は

｢....暑いしくさいんだけど｣

そういうしかないのに
それすらもお見通しの慎太郎はそんな私をみてただ笑った

『２人で仲良くされてるところ申し訳ないんすけど』

『なに？』

『結局なんだったの俺を１人にまでしてされた呼び出しは』

あ、そうだった慎太郎の呼び出しのこと聞かなきゃだった

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