愛染 (ページ11)

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『ていうかAさんって家どこら辺なんですか？』

『駅の近くだよな』

『へ～、てことは俺ら駅の手前だから地元割と近くないすか？』

『違えの、こいつ中学卒業とともにこっち引っ越してきただけだから』

『そうなんだ～.....ってさ！なんで樹が答えんの！？
俺Aさんに聞いてんだけど！』

『いいだろ別に、事実となんも変わんねえんだし』

｢うん、樹が今言ったのが全てです森本くん(笑)｣

少しふてくされた様子で樹を睨んでる森本くんが可愛い

樹はそんな彼の様子を気にする気配は微塵もないけど

こうやって初めて学校以外の場で隣を歩くことで気付いたこと

やっぱり樹はスマートで紳士なんだなって

車道側を歩いてくれるのはもちろん
後ろから自転車が来たりしたら“危ない”って自分の方に引き寄せてくれたりとか

赤く染まってしまいそうな顔を隠すのに必死だった

『なんかさー、2人でイチャイチャすんのやめてもらっていい？』

そんな樹の行動と私の顔色を見てつまんなそうに呟いた森本くん

｢なっ、そういう言い方やめて？そんなんじゃないから｣

樹に先に否定されるのが怖くてもはや食い気味に言い返した

チラッと樹の表情を盗み見するとただ笑ってるだけで
言い返すまでもないことなんだって少し胸が痛んだ

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