胡蝶の夢-2- (ページ19)

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『インフル？大丈夫？』

いつもと変わらないはずの教室だったのに
自分が想像していたものとは違った

別に前から挨拶をしてくれる人は数人いた

無視されていたわけではないし、話す必要があるときは普通に話していた

「…え」

『ほら、一週間も休んでたから心配でさ』

だけど、ただのクラスメイトにこんな声を掛けられるなんて思ってもなくて

反応に困って不自然に視線が泳ぐ

『やっぱ難しい高橋さん！クールかと思いきや今みたいなさ！(笑)』

「え、今みたい、って？」

『んーん！もういい！(笑)
あ、プリント全部机のなか入れてるからね～』

自分が話したいことだけ話して他の人の元へ行ってしまった

机の中に手を突っ込めば、
全て丁寧に折られた状態でプリントが重ねられている

今まで味わったことのない感覚に辺りを見渡す

だけど、誰も私のことなんて気にする素振りなくいつも通りの光景で

…この空気感にひどく安堵感を覚えている自分がいた

もう一度机の中に手を入れ、

一枚一枚プリントの内容を確認していく

『それ、明日提出のやつらしいよ～』

左側に感じる気配に目を向ければいつも通りの田中くん

今日もいつも通り眠そうで、少しだけ寝癖がついている

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