Angel story２(紅一点)

紫色と水色 ページ10

深澤



第一印象は、変な子

歌も、ダンスもアクロバットも、なんでも出来るのに

まるでなんにも出来ない子みたいに泣きながら練習する変な子

それがAの、第一印象









"女の子が入ってきた"

この話は聞いていたけれど、なかなか会う事が出来ず、しばらく経った

たまたまレッスンが被ったあの日



くりくりした大きい目に長いまつ毛

化粧はしていないのにプルプルした唇

めちゃくちゃ可愛いじゃんこの子

ジャニーズじゃなくて普通にアイドルすればいいのに。

そう思ってた

練習が始まって、可愛らしい見た目とは裏腹にキレキレで踊る女の子

思わず見惚れてしまった

その練習の時、1度も怒られなかった女の子

それは別に、"女の子だから甘く見ている"というわけじゃなくて

ただ単に"出来ているから" "完璧だから"

それなのに練習が終わって皆がゾロゾロと部屋を出ていく中

1人残って鏡に向かって踊り続ける

しかも、泣きながら

渡辺「お前また泣いてんの？」

『だって上手くいかなかったから、』

もうその頃にはバチバチ期が終わっていたであろう翔太に

少し乱暴にタオルで顔を拭かれている女の子

渡辺「出来てたって、上手かったよ」

え、翔太が素直に褒めてる

俺は翔太とよく喋る仲だったから、ビックリしたのを覚えてる

『ううん、出来てないの』

そう言ってまた踊り出す。変な子だ

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