口付けするまで、10秒 ページ9
やましい考えをしていた自分が嫌で、自棄になる
「A」
上から名前を呼ばれ、再び見上げた
…っ茨木童子の瞳に熱があるように見える
金色の目には私が映っており、揺らいでいた
てか、何?この謎の沈黙は
呼ばれたかと思えば、そのあとは何も言わずただ黙って見つめ合っている
何を考えているの?この鬼は
意図が全く読めず、少し困惑する
あまりにも静かなせいで、自分の心臓の鼓動が相手に聞こえていないか不安に感じるほどだ
「…………。」
すると茨木童子は顔をゆっくり近づけてきた
キッキス!?をしようとしてるのかこの馬鹿は!
しかもここ縁側!外!オープンだしこれ見られたらまずいって!
私を抱きしめる腕の力が強くなり、まるで私を逃がさんとしているようだ
普通なら、だめ!と言うべきなのに
言う、べきなのに…どうして言えないんだろう
そう思っているうちに、顔と顔の距離が縮まる
茨木童子の息が顔に吹きかかり、身体中に熱が溜まる
っいいよね、誰も見てないから大丈夫よね?
妖気だってこの鬼以外感じられないし
いや、強すぎて周りの鬼の妖気が感じられなかったりして…
そんなことない!大丈夫、大丈夫よ私!素直になれ!
葛藤に打ち勝ち、私はギュッと目を瞑り口付けを受け入れる体勢になる
私だって茨木童子のことが好きだもん
キスの一つ二つぐらいは、したい
あと少しで触れ合いそうになる_____
「そこで何をしている」
凛とした厳しい声が、横から飛んできた
み、みみみみ見られてた!?
私は反射で顔を離した
「……。」
茨木童子は冷静に横目で、口付けの邪魔をした人を見る
大天狗だ
「A、そなたも少しは場所を考えろ」
「うっ…ごめんなさい」
大天狗の言葉だけでなく鋭い目が、私の体を貫く
「邪魔をするな」
敵意を含んだ声で、茨木童子は大天狗を威嚇した
なんでそんな殺意剥き出しなの?
「人目につくような所でやられてもAが可哀想だ」
「見せびらかしている、てことがわからんのか。雑兵め」
…なんなんだこの2人の殺伐とした雰囲気
口喧嘩だけでも怖いわ!
「ふん、単細胞が。こっちにおいでA」
大天狗は私の腕を掴み、無理やり自分の方に引き寄せた
私の体はいと容易く茨木童子の腕の中から解放された
「ちょっと、大天狗!?」
これは度が過ぎてる!
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翔子(プロフ) - 面白かったです!!続きが途切れていて少し残念でした。 (2020年7月18日 15時) (レス) id: 46d689b6ff (このIDを非表示/違反報告)
雅 - 今更ながらの感想ですが、凄く面白いです^^*一日で全部読んでしまいましたヾ(*´∀`*) (2020年6月25日 7時) (レス) id: f3a30ae55a (このIDを非表示/違反報告)
神無(プロフ) - この作品を読まさせてもらいました!とても面白いと思いました!なので、更新頑張ってください! (2018年9月30日 16時) (レス) id: 3f0f44a8b4 (このIDを非表示/違反報告)
はぐはまさ - 桔梗さん» 有難きお言葉!満足頂けるよう頑張ります(*'▽'*) 虫取り網や枕を気で浮かせている茨木童子は見た目とのギャップでもう幸せですね…! (2018年8月16日 1時) (レス) id: c8fcfc89a6 (このIDを非表示/違反報告)
桔梗 - 勿論!ずっと読み続けたいです!現在のロード画面も感動しました(*´-`) (2018年8月13日 0時) (レス) id: 8ba5b5b6c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はぐはまさ | 作成日時:2018年2月4日 1時