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アズールから魔法薬を受け取った。瓶の中に入った緑色の毒々しい液体が揺れた。アズールの真正面の椅子に腰掛けて、その瓶のコルクを抜いた。ポン、と音を立てて辺りになんとも言えない癖のある匂いが漂う。瓶を口元に近づけると、匂いが一層強くなった。
「ちょっと待ってください、今飲むんですか!?」
「ええ、今飲むのよ」
「でもそれは忘れたい人の前やその人の写真を見ながら飲まなければ効力が弱まるのですよ」
「ふふふ、知ってるわよ。それくらい」
そうですか、と言ったアズールが下がった眼鏡を元の位置に戻した。ごほん、とわざとらしい咳払いをして私にそれを飲むように促した。
やあ、あぶるにい、初めましてになるわね。貴方のお手製の魔法薬で私を葬るの。どうせ私はアズール無しでは生きられやしないのだから、彼の前にて死んでしまいたい。
ごく、ごく、ごくん。喉に不快感が広がって、じわじわ舌に辛さと苦味を混ぜこぜにしたような味が染みた。
…
「A、帰りますよ」
豪華な部屋の椅子に座り込んでいた私にジェイドが手を差し出した。それを掴んで立ち上がる。
「ねえ、どうして私こんなところにいるんだっけ」
ジェイドの足取りが早くなった。ジェイドは帽子で顔を隠してしまった。
「さあ、知りません。忘れてしまったのなら、それはどうでもいいことだったのではありませんか?」
「ふふ、それもそうね」
ポケットに手を突っ込むと、硬い何かが指先に当たった。取り出してみると、壊れた小さなイヤリングだった。何の色味もない石がはまっていた。どうしてこんなガラクタを持っていたのだろうか。ちょうどゴミ箱を見つけて、それにポイ、とそれを捨てた。
【Merry Bad End ?¿ 】
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作者名:華陽 | 作成日時:2020年10月11日 22時