誤想の延長線/shao ページ30
誤想の延長線
好きではない人からの好意ほど、気持ちの悪いものは無い。少なくとも、私はそう思う。
「飲みすぎやって」
「うっさい」
3軒目の居酒屋で、遂にグラスを取り上げられた。あーくそっお酒!アルコールを入れなきゃやってられない。
「あんなぁ……いくらなんでも、そんな無防備な姿晒したらあかんで?」
「えへ、出たあシャオちゃんのお母さん節」
そうやって、君はまた私を甘やかす。今回もそう。仕事でバカをやって落ち込んでいた私を、ほいほい飲みに誘っちゃってさ。
「おかんやないで?俺だって男やからな?」
……は?
「……私だって女なんですけど」
知ってる?ここには、一人の男と、一人の女しかいないんだよ?
「私だって女の子だし、好きな人くらいいるし、誰彼構わず優しくするわけじゃないし、話すわけじゃないし、誰でもいいんじゃないもん」
シャオちゃんを友達だと思ってるなんて、言った?
ねぇ、
「誰でもよくなくて、シャオちゃんならよくて、でもシャオちゃんは全然ダメで、でも、でも、私だって、私だって私だってぇ」
涙がボロボロ出てきて止まらない。
お酒のせいで自制が効かなくなった口が、ペラペラと余計なことを放り出す。
駄目、待って、ストップ。それ以上はやめて。私が大事にしてきた、大事に大事に守ってきた私が無意味になっちゃう。
迷惑だって、気持ち悪いって、
「……それ、酔った勢いのヤケとか言わへんよな?」
「酔ってなかったら言えないもんばか。ごめんね、素直じゃない」
ごめん、全部、ほんと。
「A」
いつもより、ずっと近くから聞こえたシャオちゃんの声。
「しゃ、おちゃ、」
「ごめん、今はこれで勘弁してくれへん?……これ以上やったら、止まらんくなるから」
「嘘でしょやめてよ、ねぇ、同情なんかいらないから、」
「なぁ。……俺も、お前が好きやってん」
「……え…?」
え、何、なんて言った?
好き?
好きなの?
シャオちゃんが?私を?
「……バカぁ、おそい、ヘタレ」
「うっさいわ、そんでお前は酒くさいねん」
好きな人からの好意は、こんなにも中毒性があって痺れるものだった、なんて。
(「おそわないの?」
「は?」
「……ヘタレ」
「あんなぁ……酔っ払いとなんて、なんか卑怯やろ。また今度な」
「うわあぁ」
「なんでまた泣くねん!?」
「ほんとにすきぃ」
「……そんなこと言われて抱きつかれたら、早速前言撤回しなきゃならんくなるから離れてくれへん?」)
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田螺(プロフ) - 夜風さん» 夜風さん、ありがとうございます…!勿体ないお言葉をたくさん頂きまして、感無量です…;;そのように思っていただけるなんて嬉しいです…。ご期待に応えられるよう次作も頑張ります! (2017年12月20日 21時) (レス) id: 755aeb3c0d (このIDを非表示/違反報告)
夜風(プロフ) - 完結おめでとうございます。短編集の中で、作者様の作品が一番好きで毎日更新を楽しみにしていました( *˙˙*)それぞれのお話の独特の世界観に引き込まれる感じがして読み込んでしまう魅力が凄いなぁといつもROMりながら思ってました(笑)また新作も楽しみに待っています (2017年12月19日 22時) (レス) id: 8e491b616a (このIDを非表示/違反報告)
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