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関係の線引き/ut ページ19

関係の線引き



「……君はまた何をしているんだ」

呆れ顔を僕に向ける彼女。
そらそうだ。自分と食事の約束をしていた男が、頬にもみじマークを付けて座っていたら、誰でも驚く。

「全く。何があったのかは聞かないが、そろそろその悪癖を治した方がいいと私は進言しておくよ」

どうやら全てを悟ったらしい彼女からのありがたい進言。身に染みるわ……

「や、僕も治そう思てるんやけど」

治せるものなら、とうの昔に治しているわけで。

「笑えば何とかなると思っている節があるな、君は」

ヘラりと笑うと、呆れたように彼女も笑った。
……なんだかんだ言って、彼女は僕に甘い。

「本命が振り向いてくれれば、僕も落ち着くと思うんやけどなぁ」

「む、君にそんな人がいたのか!初耳だ」

目を見開く彼女。

「誰……と聞くのは無粋か。どんな人か、くらいなら聞いても構わないか?」

純粋に好奇心。そんな面持ちで尋ねてくる彼女の様子が、少しだけおかしかった。

「せやなぁ……まず美人さんやな」

「ふっそれは大事だな。なんせ君には美人が似合う」

「あと頭が良くて、気兼ねなく話せて優しい」

「なんだ、随分欲張りじゃないか」

「それに」

「まだあるのか」

「長い付き合いで、僕の1番の理解者で、話し方が女性っぽくなくて、意外に鈍感」

「……ほぉ」

「そして僕に甘い」

カラン
出されたお冷の氷が鳴った。

「……私は自惚れてもいいのかな、これは」

困ったように笑う。

「僕の手綱を握れんのなんて、Aちゃんくらいやで」

君が今の関係を飛び越えてくれたら。

「……Aちゃん、君のことがす」

「ストップ」

「ふぁ」

ぐいっと頬を挟まれ、僕の言葉は遮られる。

「その言葉は、君が今付き合っている女性とセのつくお友達との関係が全て消えてから言ってくれないか?」

こう見えて嫉妬深いんだ、なんて言って君は意地悪に笑った。

「……頑張りまふ」



(「まずはそのもみじマークを着けた人から縁を切ろうか」

「あっ、これは大丈夫やで。これから大事な人と会うから今日はごめんなって言ったら殴られたんやから」

「……君はどうしようもない阿呆だなぁ」)

捕食者は誰か/gr→←延命には残酷な優しさを/rb



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田螺(プロフ) - 夜風さん» 夜風さん、ありがとうございます…!勿体ないお言葉をたくさん頂きまして、感無量です…;;そのように思っていただけるなんて嬉しいです…。ご期待に応えられるよう次作も頑張ります! (2017年12月20日 21時) (レス) id: 755aeb3c0d (このIDを非表示/違反報告)
夜風(プロフ) - 完結おめでとうございます。短編集の中で、作者様の作品が一番好きで毎日更新を楽しみにしていました( *˙˙*)それぞれのお話の独特の世界観に引き込まれる感じがして読み込んでしまう魅力が凄いなぁといつもROMりながら思ってました(笑)また新作も楽しみに待っています (2017年12月19日 22時) (レス) id: 8e491b616a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:田螺 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年11月23日 18時

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