【HQ!!】逢瀬に溺れる

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「吸血鬼にも色々あるんだよ。例えば、体質とかがさ。人間でいう、食べ物の好き嫌いとか、甘党辛党みたいなのが」



月島くんが私に手を伸ばしてきて、私の髪の毛を一束やわく掴んだ。



「僕の場合は、それがちょっと面倒な体質で、まあ一言で言えば偏食なんだよね、偏食」



『どういうこと？』



偏食、月島くんの言う食べ物とは、血のことなんだろうか。



「初めて年頃の異性の女の子を食べたその瞬間から、その子の血以外マズくなるんだよ、僕」



月島くんが細長い指先で弄んでいる髪を、そっと彼の口元にまで持ち上げた。



『それって…………っ！！』



ちゅっ。
軽いリップ音がいやらしく、私の髪にふってきた。



見せつけるみたいに目を細める月島くんに、私は顔が赤くなるのを感じた。



『初めて食べた、異性の女の子って……もしかして……』



私はそこでふと、月島くんが言っていた「フィアンセ」という言葉を思い出した。



「……そう、君だよ。天夜A」




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