#岩 ページ33
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「53匹目っと、」
真正面から突っ込んできてくれるから、割と斬りやすいがとにかく数が多い。
心配なのは刃こぼれ。
刀を使うのは鬼の頸だけにしないと…。
「わ、危ねっ！体柔らかくしといてよかった」
包丁を体を捻って躱し、頸を斬り落とした。
顔も隊服も身につけているもの全てに隔たりなく、鬼の返り血がじわじわ染み渡っていく。
これで知性あったら詰んでたわ、
とか一瞬思ってしまった私が悪いの？？
今まで斬った鬼よりもいくらか大きい数匹の鬼に、周りを取り囲まれる。
これは鬼が私を殺そうと考えた証拠。
「……ハッ、上等だわ」
足に負担がかからないくらいの力を込め走り、二匹まとめて頸を斬る。
よし、順調！
あとは三匹だけーーー
ガシャン!!!!
背後から何かが空を切る音が聞こえ、反射的に刀を打ち付ける。
ボトリという音と共に、それは地に落ちた。
「これは…岩……？」
…人の頭ほどもある硬めの岩だ。
そう認識した途端、嫌な汗がつぅと背中を流れた。
恐る恐る自身の刀に視線を落としてみる。
ーー刀は、半分に折れていた。
『頭に当てるつもりだったが……まあいい、もうこれでその刀はもう使えないな！』
「…最悪」
ーーボス鬼が帰ってきた。
どうする？
半分の刀でも戦えるが、威力もリーチも落ちる。
だが考える余裕も与えないと言わんばかりに、残り三匹の鬼が私へと襲いかかってきた。
ボス鬼の手元にはまだ大きめの岩がある。
「…………誰か、助けて…！」
「！？」
いま、
今、
生きた若い女の声が聞こえた。
その声に私は一瞬気を取られ、その隙を鬼が見逃してくれる筈もなく。
視界一杯に、鬼の口が広がった。
.
.
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「随分と余裕そうだね？」
そんな気怠げな声が聞こえたかと思うと、目の前の鬼の頸が遥か遠くへ飛ぶ。
べちゃり、
全身に鬼の血を浴びるが、今の私にとってそんなことはどうでもよいことだった。
…なんで、
「どうして無一郎がここに…！？」
「他の奴の鎹烏に呼ばれてきたんだよ。そうしたらAがいるんだもの」
淡々とした口調で、彼は鬼へと刀を構える。
「Aは下がってて」
庇うように前へと出た彼の小さい背中を見て、私の体は安堵に包まれてしまった。
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Runa - 紅乱さん» 一気読みだなんて！めちゃくちゃ嬉しいです！杏香をそのように言ってもらえありがとうございます！！ (2020年1月18日 11時) (
レス) id: e03723cf47 (このIDを非表示/違反報告)
Runa - 永久さん» 最後までお読み頂きありがとうございます！！貴方様のコメントで泣きます！！！！！ (2020年1月18日 11時) (レス) id: e03723cf47 (このIDを非表示/違反報告)
永久(プロフ) - 完結おめでとうございます！！もう本当に！！泣きます！！！！！ (2020年1月17日 17時) (レス) id: 75d8805815 (このIDを非表示/違反報告)
紅乱 - 今日見つけて一気読みしてしまいました！杏香ちゃん良い子すぎて泣ける…… (2020年1月16日 21時) (レス) id: 649e22ca45 (このIDを非表示/違反報告)
Runa - 雫さん» それなあああです！！こんな親友私もめちゃ憧れます！ (2020年1月16日 18時) (レス) id: e03723cf47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Runa | 作成日時：2019年12月5日 23時
