#クズ ページ29
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「……どうしよう」
屋敷を出て通りを歩いていたら、唐突に重大すぎる問題があったことに気付いてしまった。
それは、
私がまだ杏香に'ありがとう'と伝えてないこと。
美樹さんがいたら無理だし…、
無一郎がいたら辛いし…、
二人っきりのシチュなんて作れる？？
だって美樹さん、杏香と一緒に住んでるんだよ？
「でも早く謝りたいし…、美樹さんにその時だけ許可もらえるかな？」
「誰に謝るんだ？」
「杏香に……って、ん！？」
突如聞こえた男の声に、びくり肩を揺らす。
横を見ると、そこにはいつかの赤頭がいた。
「炭治郎くん…一瞬誰かと思った……」
「そんなに考え事をしていたのか？」
その問いにコクリ頷くと、彼は笑みを浮かべて話し出す。
「それにしても久しぶりだな、A」
「うん、だね」
……そういえば、炭治郎くんは私の噂を知っているのだろうか。
「何だ…？悲しい匂いがするぞ？」
「えっ」
心配そうに私の顔を覗き込む彼は、正に長男。
鼻が良いとは聞いてたけど…
まさか感情まで読み取れるとは驚いたな。
「無理してるんじゃないか？俺でよければ話を聞くが…」
真っ赤な瞳に見つめられ、話そうかどうか少し悩んでしまう。
だけど、私の口は勝手に動いていた。
「…………失恋、したの…」
「！」
「バカだよね、自分から好きな人を手離すなんて。自分のこと正当化して、本当に私はクズだ」
ただ、納得してしまう自分がいた。
美樹さんの言ってることは全部本当のことで、私は彼と別れることを'正しい'と思ってしまった。
彼の気持ちも何も聞かずに、身勝手で最低で、彼の隣になんか並べないくらいなクソ女。
こんな私は、
誰かに殺してもらいたいくらい嫌いだ。
「……Aはクズじゃない」
「ちがう」
「Aは良い人だ」
「ちがう」
「君は俺を助けてくれた。笑って手を差し伸べてくれた。……それが理由じゃ駄目なのか？」
眉を落として聞いた炭治郎くん。
やめて、やめて、
それ以上はもう何も言わないで。
「君からは、痛いくらいに優しい匂いがする」
そんなに優しく笑わないでよ。
ーー嗚呼、
ずっと殺してきた自分が、
殻を破って泣き叫んでしまいそうだ。
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Runa - 紅乱さん» 一気読みだなんて！めちゃくちゃ嬉しいです！杏香をそのように言ってもらえありがとうございます！！ (2020年1月18日 11時) (
レス) id: e03723cf47 (このIDを非表示/違反報告)
Runa - 永久さん» 最後までお読み頂きありがとうございます！！貴方様のコメントで泣きます！！！！！ (2020年1月18日 11時) (レス) id: e03723cf47 (このIDを非表示/違反報告)
永久(プロフ) - 完結おめでとうございます！！もう本当に！！泣きます！！！！！ (2020年1月17日 17時) (レス) id: 75d8805815 (このIDを非表示/違反報告)
紅乱 - 今日見つけて一気読みしてしまいました！杏香ちゃん良い子すぎて泣ける…… (2020年1月16日 21時) (レス) id: 649e22ca45 (このIDを非表示/違反報告)
Runa - 雫さん» それなあああです！！こんな親友私もめちゃ憧れます！ (2020年1月16日 18時) (レス) id: e03723cf47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Runa | 作成日時：2019年12月5日 23時
