#私は ページ20
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「…何だ、また女か」
残念そうな素振りで、彼は肩を落とす。
バクバク波打つ心臓を抑え横を見ると、杏香が切羽詰まったように声を上げた。
「美樹!!早くそこから離れなさい!!」
「…え」
「その鬼は上弦!一旦距離を取って!!」
上弦の参と話していたのは、どうやら杏香の継子の美樹さんだったらしい。
赤色の結んだ髪を揺らし、彼女は素早く距離を取った。
「俺は弱者に興味は無い。早くここから失せろ」
「私もAも、これでも柱なんだけど?」
「…ほう」
見かけにはよらないものだな、と彼はひとつ頷き微笑む。
「俺の名前は猗窩座だ。勝負しよう」
と名乗った瞬間、彼は構えて物凄い速さでこちらに来る。
真っ直ぐに振りかざされた拳を瞬時に避け、大きく息を吸った。
「ーー梅の呼吸 弐ノ型 空梅雨」
スパッと腕を斬り、もう片方も斬ろうと刃先を向けると、またも拳が腹をめがけて飛んでくる。
方向を変えその腕を斬り落とすと、猗窩座は私から距離を取った。
「様子を見ようとしてみたが…、筋は通っているな。咄嗟の判断力が良い」
「どうも」
「Aと言ったか?どうだ、俺と同じ鬼になってみないか」
…はぁ?
鬼殺隊を鬼に勧誘するなんて阿保じゃないの??
「もしかして…煉獄さんにもそう言ったの?」
「ああ、杏寿朗は強かった。だが人間は鬼には勝てない。鬼になってさえいれば……、本当に惜しいことをした」
やはりコイツが煉獄さんを…!!
怒ったことでどうにかなる訳ではないが、私は腹の奥底から煮えたぎるような殺意を感じた。
刀を握る力を強めると、猗窩座はそんな私を見て口角を上げる。
「A!危ない!」
「!?」
いきなり名前を呼ばれ、背後から感じた狂気に向け刃を振るう。
見ると、そこには体格の良い鬼が数十匹も居た。
「何でこんなに…!?鬼は群れないんじゃないの!?」
「恐らく血鬼術を操る鬼がいるんでしょう。私と師匠で相手しますから、梅柱様は猗窩座を」
そう冷静に分析した美樹さんの額にも汗が浮かんでいる。
これは……酷い状況だ。
上弦を一人で相手取るとなると、勝てるかも怪しい。
「邪魔が入ったか…」
だけど、私は煉獄さんに‘ 守り通せ ’と言われたんだ。
「猗窩座、私はお前に勝つ」
負ける等、論外。
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Runa - 紅乱さん» 一気読みだなんて!めちゃくちゃ嬉しいです!杏香をそのように言ってもらえありがとうございます!! (2020年1月18日 11時) (レス) id: e03723cf47 (このIDを非表示/違反報告)
Runa - 永久さん» 最後までお読み頂きありがとうございます!!貴方様のコメントで泣きます!!!!! (2020年1月18日 11時) (レス) id: e03723cf47 (このIDを非表示/違反報告)
永久(プロフ) - 完結おめでとうございます!!もう本当に!!泣きます!!!!! (2020年1月17日 17時) (レス) id: 75d8805815 (このIDを非表示/違反報告)
紅乱 - 今日見つけて一気読みしてしまいました!杏香ちゃん良い子すぎて泣ける…… (2020年1月16日 21時) (レス) id: 649e22ca45 (このIDを非表示/違反報告)
Runa - 雫さん» それなあああです!!こんな親友私もめちゃ憧れます! (2020年1月16日 18時) (レス) id: e03723cf47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Runa | 作成日時:2019年12月5日 23時