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死んだ捜し人……大竹さんは、何故かその懐にニノを入れた。
大竹さんに頼まれたのは、依頼人……上島さんに自分の事を報告する前に、自分の知識とスキルをニノに譲ってからにしたい……ってモンだった。
基本、ＰＣやらゲームやらがお得意なニノは、あっという間にのめり込んでいって。
その上、２人のやり取りを見ていると、まるでニノが息子なんじゃないか……なんて錯覚する位に距離を縮めていたんだ。
大竹さんの事は、上島さんに黙っておいた方が良いんじゃないか……なんて考えが過り始めた時、上島さんと連絡が取れなくなった。
それだけならまだしも、彼が傍に置いていた『大型犬のような生き物』が俺達の事務所までやってきた。
相葉くんとニノには懐いていたその『大型犬のような生き物』が事務所にやってきた時は、なんだかんだ事務所のメンツも喜んでいたものの……。
上島さんは失踪して。
大竹さんは死体で発見された。
警察からの報告で現場に向かった俺達が見たモノは……想像以上に異常な現場だった。
彼女の死体は噴水の下で椅子に座らされ、青いドレスと青いハイヒールを身に付けさせられ……片足が切断された状態。
水の流れにゆらゆらと揺れ、まるで天辺から溢れる水を今にも登りそうなその姿は……
Ｎ「………人魚姫みたいだね、しのぶ」
ニノの、あの呟きは、忘れられない。
異様な現場に、小さく呟いただけだった筈のニノの声が、その場に染み渡る様に耳に届いた。
あの時、ニノは。
笑っていた。
まるで、かくれんぼの鬼が、隠れていた子達を見つけた時のような表情だったんだ。
それからニノは、部屋から出れなくなった……ニノが持っていた『才能』の所為で。
そんなニノを部屋から出してくれたのは、『大型犬のような生き物』と、翔さんだった。
俺……実は、不思議に思ってる。
ニノは動物が苦手だったハズなのに、あの『大型犬のような生き物』は何故か平気なんだ。
そして、ニノは確実に翔さんにだけ開いている『心の扉』があると思ってる。
以前から一緒にいるリーダーや相葉くんじゃなく……ニノは翔さんを選んで心を開いているようにも見えるんだ……。
……嫉妬が無いワケじゃねえけどさ。
……別に、拗ねてねえし。
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作者名：黒衣
| 作成日時：2017年5月31日 15時
