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◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
頭からタオルをかぶったまま顔を上げれば。
ローテーブルの上には、見慣れた缶の大きい方が２本と、以前櫻井さんが「とっておき」と言っていたお高めの缶詰。
櫻井さんは缶を１本手に取ると、プシュ…と音を立てながらシュワ…と上がってきた泡に慌てて口をつけて。
ズズ…と音を立てながら、少しばかり表情を綻ばせていて。
そんな彼につられるように私も缶に手を伸ばせば。
Ｓ「……カンパイ、しとく？」
どうしてか、櫻井さんは儚げに微笑んでいた。
当て所が悪かったのか、お互いの缶がゴワン…と拍子抜けするような音を立てて。
その音に櫻井さんは、クイッと片方の口元だけを上げた。
Ｓ「前にさ…お前にペットの話を持ち掛けた時、小難しい説明したじゃん、俺」
「はい…何おかしな事を言ってんだこの人って思いましたけど」
Ｓ「ははっ…だよね」
「……居心地最高ですけど」
Ｓ「ん…悪くねえよな…」
グビッ…グビッ…とビールを飲み込む音がやけに大きく聞こえて。
いつもよりも飲み込む量が多いんだろうな…ってトコから、彼の緊張感が伝わってくる。
Ｓ「ソレ以外にも本当は理由があった…って言ったら、お前、引く？」
「……それ以外、ですか？」
Ｓ「そ、あの時に言った理由も本当だけど…ソレ以外にもあったんだよね」
「……………」
Ｓ「お前の面倒をみてやりたい理由」
自分の手元に落としていた視線を櫻井さんに向ければ。
彼の視線は自分のすぐ傍の床に向けられていて。
そこには。
１冊の本らしきモノ。
その表紙をそっと撫でる櫻井さんは。
切ないような、哀しそうなような、今にも消えちゃうんじゃないか…っていう表情を湛えていて。
Ｓ「お前には、悪いと思ったんだ」
どこを見ているのか分からない瞳が、ローテーブルの上に向いて。
手を伸ばした先にあった缶詰を手に取ると、カシュ…と何事も無かったかのようにそのまま開けて。
テーブルに置かれていた箸を手に取って、ひとつ抓んで口に運ぶと。
うまっ！と小さく呟く櫻井さんは、いつも通りで、いつも通りじゃない。
Ｓ「いつか言おう…次は言おう…今度こそ言おう…そう思ってはいたんだよね」
もぐもぐと咀嚼しながら彼が手を伸ばしたのは傍らに置かれていたモノ。
それは、アルバムだった。
◇108 (2017/03/15)→←◇106 (2017/03/14)
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やっち(プロフ) - お互い好きだったんですか！？凄く甘々になって羨ましい〜 (2022年3月29日 22時) (
レス) @page50 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん(プロフ) - 随分前に読んでから好きで、最近ふと読みたくなってまた来ました。大好きです。 (2020年5月3日 10時) (レス) id: 2cd5a2ef25 (このIDを非表示/違反報告)
黒衣(プロフ) - ebi信号さん» コメントありがとうです^^ 電車で読まれてのですね(笑) 私もこの翔さんには可愛がられたいのでお気持ちお察しです(笑) 楽しんで頂けたようなので本当に嬉しいです。他作品へのコメもありがとうございます！^^ (2019年10月12日 0時) (レス) id: 9cf8dc8670 (このIDを非表示/違反報告)
ebi信号(プロフ) - はい、ダメー。電車で読んじゃダメなヤツー！じわる涙我慢してたのに『くそ可愛がって貰え』って言葉で本気でウッって声が出ちゃったよ。隣にいた大学生の不審な目！もぉーやだ。お家帰って、もっかい読みなおしますー。 (2019年9月7日 20時) (レス) id: 15817c11d2 (このIDを非表示/違反報告)
黒衣(プロフ) - 夏鈴さん» 楽しんで頂けたようで嬉しいです♪ …って１日で！？それは有難いやら恥ずかしいやら…(笑) 私の想像＆妄想の世界を楽しんで頂けてホッとしています。そしてある程度のエロも欲しいよねと握手を交わせそうです(笑) (2018年8月22日 3時) (レス) id: 9cf8dc8670 (このIDを非表示/違反報告)
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