◇105 ページ7
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「……えっと、あの……櫻井さん？」
私を掴んでいる櫻井さんの手に、ギリ…と痛い位の力が入って。
私を見下ろしている櫻井さんの表情も、眉間に皺が寄っていて、その瞳は切なげにゆらゆらと揺れていた。
Ｓ「……………」
「あの…どうかしました？」
Ｓ「……………」
ゆら…と揺れた後。
一瞬だけ。
櫻井さんは私の背後に視線を向けた。
ドクン、と。
私の心臓は、変な鳴り方をして。
私の本能が「後ろを見るな」って言っている。
「あ、の……」
Ｓ「……うん」
「帰り、ましょ？」
Ｓ「……うん」
櫻井さんは、私に返事をしているのに、そこから動く気配も、私の腕を離す気配も見せなくて。
す…と自分の体温が下がったように感じるのは、どうしてなんだろう。
少しずつ。
そう、少しずつ振り向けば。
Ｓ「……見るな」
低く唸るような櫻井さんの声。
ぎゅ…と私を掴む手に力が入ってるのも分かっているのに。
どうしても、私の背後に何があるのかが気になってしまったんだ。
「……………っ！」
振り向いた、先。
離れた場所に、１組の男女。
何かを話しているのか。
男性の腕に女性は自分の両腕を添えていて、こちらからはその２人の距離感が近いように見えた。
そうしているうちに。
女性が男性に抱きついて。
男性が、女性の肩を掴んでゆっくりとその体を離すようにすれば。
肩を掴まれていた女性は、自分の体を伸ばして。
その男性に口付けた。
それはまるで、スローモーションで。
どこかの映画のワンシーンのようで。
その美しいシルエットは。
綺麗な光景に見えた。
綺麗な光景に見えるのに。
どうして私の唇は震えてるんだろう。
Ｓ「……だから言ったのに」
気が付けば、私は。
櫻井さんに頭を抱え込まれて、彼の胸に顔を埋めていて。
「……化粧、付いちゃいますよ？」
Ｓ「バカだね、世の中にはクリーニングっていう便利なモノが存在する事をご存知？」
「……ふふっ、そうですね」
Ｓ「……無理して笑うな」
「やっぱり見間違えじゃないですよね？…アレ、二宮ですよね？」
Ｓ「……………」
私の声は、震えていなかっただろうか。
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やっち(プロフ) - お互い好きだったんですか！？凄く甘々になって羨ましい〜 (2022年3月29日 22時) (
レス) @page50 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん(プロフ) - 随分前に読んでから好きで、最近ふと読みたくなってまた来ました。大好きです。 (2020年5月3日 10時) (レス) id: 2cd5a2ef25 (このIDを非表示/違反報告)
黒衣(プロフ) - ebi信号さん» コメントありがとうです^^ 電車で読まれてのですね(笑) 私もこの翔さんには可愛がられたいのでお気持ちお察しです(笑) 楽しんで頂けたようなので本当に嬉しいです。他作品へのコメもありがとうございます！^^ (2019年10月12日 0時) (レス) id: 9cf8dc8670 (このIDを非表示/違反報告)
ebi信号(プロフ) - はい、ダメー。電車で読んじゃダメなヤツー！じわる涙我慢してたのに『くそ可愛がって貰え』って言葉で本気でウッって声が出ちゃったよ。隣にいた大学生の不審な目！もぉーやだ。お家帰って、もっかい読みなおしますー。 (2019年9月7日 20時) (レス) id: 15817c11d2 (このIDを非表示/違反報告)
黒衣(プロフ) - 夏鈴さん» 楽しんで頂けたようで嬉しいです♪ …って１日で！？それは有難いやら恥ずかしいやら…(笑) 私の想像＆妄想の世界を楽しんで頂けてホッとしています。そしてある程度のエロも欲しいよねと握手を交わせそうです(笑) (2018年8月22日 3時) (レス) id: 9cf8dc8670 (このIDを非表示/違反報告)
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